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タイトルは「豹頭王の試練」。生ものなのでさくっと読む。100巻記念だ、カバーも上げておこう。
加藤直之画伯のイラストに惹かれて書店で手に取った「豹頭の仮面」。あれは26年前。自分とさして歳も違わぬ新人作家がぶちあげた、「全100巻」の開幕編の、その著者のあとがきにそれなりの意気を感じて「わかった、んじゃ100巻つきあったる」、と誓いを立てて幾星霜。ついにその日が来たっちゅーのに、この感慨の無さはどうしたことだ?
いやまあ100巻目の感慨がおおむねこんな物であろうことは、とっくに予想はついてたんだけどさ(つoT)。
ちなみにお話の方は、相変わらずだらだらと語りばかりで辟易するんだけど、お耽美傾向が控えめのお話が続いているせいもあってか、まあそれなりに読める物にはなってる、と思う。これでも普通に面白い、とは思える、かな。これだけ読んでもなにがなんだか分からんだろうけど、こっちにはあらかじめ失われつつある26年分の記憶の蓄積があるのでな。うん、マシな部類でしょ(いやはや)。
それはそうと。
温帯も人が悪いですね。100巻目のラストにそれ持ってきますか。ちょっぴりだけどオレ、「101カンモ、ヨマントイカンダロウカ」って思っちゃったじゃないのさ(^^;)。まあよろし。出たら考えよ。
英自動車メーカー・ローバーが経営破綻 政府が支援拒否(asahi.com)。……うわあ(つoT)。んまあランドローバーもミニもとっくに別ブランドなんだけど。
野尻抱介 著
カバーイラスト 撫荒武吉
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ.
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030787-3 \640(税別)
2006年、地球の天文観測者たちはその望遠鏡越しに、太陽に重なり合う位置に達した水星に、それまでに見たことのない物を発見した。水星表面から巨大な塔のように屹立して見えたそれの正体は、水星に埋蔵された膨大な鉱物資源。今それらは未知のナノテクノロジーの力の元、水星を離れ、太陽へと向かっていき、そこに巨大なリングを形成し始める。それはやがて太陽の大半を覆い始め、結果、地球は深刻な危機を迎えることになっていた。光を失いつつある人類に、この巨大な建造物の破壊はなるのか、そしてそもそも、一体誰がなんの目的で、このような巨大な構造物の建造を開始したのだろうか…。
えー、「反対進化」で、今や世の中のハードSFがロジックとスペックでがんじがらめになってしまってて困ったもんだ、と言ったその舌の根も乾かぬうちに言うわけですが、これは惜しい。すばらしく面白い、んだろうな、と思わせる要素が随所で見受けられるんだけど、それを裏打ちするスペックやロジックの過剰さが少し、いやかなり足りない、と思ってしまった。初出がそもそも短編作品だった、と言う事情もあるのだろうけれど、それでもこう、もうちょっと冗長な部分を混ぜて欲しかったなあと言う気がしないでもない。
これは、現在わかっている範囲で最大限実現可能であろうと思われる宇宙航行技術などのテクノロジーを盛り込み、その上で人類がいまだ想像も出来なかった、全く異種の生命体との遭遇を描く、ファーストコンタクト物のハードSF作品だ。ファーストコンタクト物の場合、気になるのは「遭う前」に膨大なドラマがあるのか、それとも「遭ったあと」にそれが発生するのか、と言うことになるのだろうと思うのだが、これはどちらかというと「遭う前」に比重が置かれているのだと思う。そのこと自体は問題ない。太陽に覆いを掛け、そのエネルギーを何かに使おうとする未知の存在、それは今、太陽系へと刻々近づいている。だが彼らの行動原理はなにもわからない、なぜここに来るのか、どうやってここに来るつもりなのか、ここに来てなにをしたいのか、それを丹念に登場人物たちが推理し、解き明かし、たつもりが実は外れでもう一度その作業をやらざるを得ない羽目になり…という、やや退屈な方に行ってしまうけれどもクライマックスのためには不可欠な下準備が丹念であればあるほど、この手のお話の面白さというのは大きな物になると思うのだが、そこらが足りない。
ファースト・コンタクトSFのキモはコンタクトする相手の「異質さ」だ。それが異質であればあるほど、SFとしての面白さは上に行くだろうし、作家の手腕に対する読者の評価も同様だろう。実はこの作品で著者が作り上げたエイリアンの異質度はかなり高く、かつユニークだ。ああ、そう言う宇宙人は今まで思いもよらなかったけど、言われてみればいてもおかしくないよな、と思わせる説得力をもったクリーチャー(なにせ著者が造ったのだから)になっていると思う。それだけに、いや、それだからこそ、そこまでの流れを補強するために、この作品にはこの三倍の登場人物が必要だったのではないだろうか。この倍のページ数が必要だったのではないだろうか。
私が勝手に、読む前にwebでの評判とかを聞いて勝手に期待してしまったのが悪いのかも知れないけど、ええすいません、わたしゃ日本製の「神の目の小さな塵」とか「悪魔のハンマー」、もしくは「降伏の儀式」みたいなノリを勝手に期待してたんですよ。過剰なまでのスペック羅列が、ある時点で一気にカタストロフになだれ込む、そんな瞬間を期待してたのですよ。
で、残念ながらその快感は味あわせてもらえなかったなあ、と。そりゃ、このボリュームでそこまで描くのは無理でしょう、と言うことなのかも知れないけど、だったら著者にせめてこの倍のページを与えてくれよ、と思ってしまうのだけどな。長さゆえにその読後感が格別な作品、というのは絶対にあると思う。こいつは短かすぎて、何かを感じるヒマをこっちに与えてくれないままに終ってしまっている。いろんなところが面白いのに、同様にいろんなところが足りていない、様なお話だと思った。もう少しこの世界にとどまっていたいのに、否応なしに見せ物小屋から叩き出されたような気分。ダメな本、と言うのではないのです。なんでそんな分量で終るのよ、もっと読ませてよ、と思ってしまう、様な本だと思ったです。
つか腕利きのJA読者ってのは、その辺を上手に補完できてるってことなんでしょうか? だったらオレ、もうハヤカワJAを読むアビリティがなくなっちゃってるってことになるなあ。
(★★★)
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あれー。99巻の乱土さんの感想を読んだ記憶が無い…無いまま100巻。長い間おつかれさまでした。あとがきがどんなことになってるのか、想像もできません(しません)。
まあ、殊勝なような、相変わらずの自分マンセーなような、そんなあとがきでございましたよ。