ばむばんか惰隠洞

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2005-04-12 [長年日記]

[News] そりゃちょっと気が早いだろ (22:52)

阪神百貨店ビアガーデン"史上最速"今夕オープン(sankei.web)。さーみんなー、屋上の季節がやってきたぜー! ってなんぼ何でも早すぎるがな。甲子園の阪神・巨人戦を当て込んでのオープンらしいけど、雨でさんざんだったろうね、今日行った人たちは。

まあ試合は勝ったから気分は良かったかも知れんけど。

[Books] アグレッサー・シックス (24:33)

本書カバー ウィル・マッカーシイ 著/冬川亘 訳
カバーイラスト 木嶋俊
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011507-9 \720(税別)

目のつけどころはシャープだったんだけどなあ

34世紀、人類の版図に姿を現わした異星人、ウエスターの大艦隊。それはシリウス、ウルフ、ラランデ星系に建設された人類殖民地を跡形もなく粉砕し、光速の90パーセントというスピードで太陽系に向かってくる。コミュニケーションを取ろうとする試みには一切耳を貸さず、ただひたすら人類版図を根絶やしにしながら向かってくるウエスターの無敵艦隊を相手に、人類に対抗手段はあるのか。乾坤一擲の逆襲作戦の末、ウエスター艦の拿捕に成功した人類は、押収した資料を基に特殊チーム、"アグレッサー・シックス"を設立する。ウエスターの言語中枢をインプラントとして埋め込まれ、ウエスター人の最小の構成ユニットである4つのカースト、6つの個体から構成される6人。彼らの使命はウエスターの行動原理を理解し、彼らになりきることでその弱点を見つけ出すことだった…。

ええと、わたくしには「木嶋俊氏がカバーを描いてるSFは、一番良く出来てる時でも『そこそこ』おもしろい」ぐらいだと、なんとなく経験則的に認識しているところがありまして、このカバーを見たときも、「ははーん、これは『ブラックカラー』とか『超戦士コブラ』みたいな、少々スカタンなミリタリー調ヒーローアクションSFなんやろな」と思ったわけですな。もう、構図のキメ方とか、相変わらずの「木嶋さん、もうちょっとマスキング丁寧にしようよー」と言いたくなるような処理(それともアレが作風なのか? )を見るにつけても、そんなに期待してなかったわけです。んで、ちょっと今回はその辺、いい意味で裏切られたかな。少なくとも"スカタンなミリタリーSF"ではなくって、そこはうれしかった。

異星人と戦う、というのは、ずーっと島国暮らししてたところにいきなり蒙古の軍勢がやってきた、交渉一つを取ってみても彼我のコミュニケーションの理解の差は埋まりそうにない、と言うそこのところの距離を、さらに何万倍にもしたものであるだろう、と言うところに着目したのが本書な訳で、あれだわ、「ヤマトに祝電を打ってくれたまえ」なんてのはありえねーだろ普通、というのがベースになるわけだ。全く正しい。と、なればこっちの興味は、"アグレッサー・シックス"の面々はいかにしてウエスターの行動原理を物にし、ウエスターを理解し、そしてウエスターである人間が、人間を見たときにそこに何を見出すか、が語られることに集中してしまう訳なんだけど、惜しいなあ、そこらがちょっとあやふやなんだよなこのお話。

(一応)主人公のケンは、あらすじで紹介した乾坤一擲の人類側の大作戦の数少ない生き残り。しかも実際にウエスター艦に侵入し、ウエスターそのものと遭遇して生き残った、と言う意味では超希少な存在。そんな彼はウエスター艦で見た物に対して強烈なトラウマを抱いたまま"アグレッサー・シックス"に配属される。当然ここから期待されるべきは、人類と、それからわずかとはいえウエスターを実際に目にしたケンを使って人類的な物の考え方、ウエスター的な行動規範の格差が明確にされ、そこの隔たりを主人公なり他のキャラなりが、「ほほう」と思えるような発想で少しずつ詰めていく、ような、なんちゅーかな、一種の知的なゲームの展開を期待したんだけど、どうもそこら辺がこう、ちぐはぐっちゅうかあやふやっちゅうか。

なのでラストもちょっと「ハァ? 」と思ってしまう訳なんだが。せっかく「異星人同士なんて、そう簡単には解りあえない」っておいしい前置きが出来てるくせに、案外簡単に解りあっちゃったじゃんあんたら、と。ラスト前にちょっといい感じの波乱が用意されてただけに惜しいなあ。

総じて悪くないのだけど、いろんなところでツッコミ不足、というか「練り」が足りない作品だな。本線となるお話とは別に挿入されるエピソードも妙に浮いてしまっている感はあるし。続編(さらに1000年ばかり未来の話らしいけど)での捲土重来に期待しておきます。解説によりますと、基本的にこの方ってリンダ・ナガタやピーター・F・ハミルトンショーン・ウィリアムズといった、新手のハードSF分野に位置する作家さんらしいので、そちら方面も読んでみたいね。

うーむ、それにしても結果的にカバーイラストの法則は(^^;)………

(★★★)


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