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いろいろやっとかんといかんこともあるんだが、あまりに寒いので逃避。先日Animaxでやってた「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」鑑賞。原作読んでない、テレビアニメの方はまあまあ追っかけてた程度の私としては、おおむね好印象。
お話はテレビ版の最終回を受ける形で始まり、エドはワシらの知ってるこちらの世界のミュンヘン(時代は1923年)に、アルは身体は取り戻したけれどエドと旅をしていた時代の記憶は失って向こうの世界に生きてる。二人のおとっつあんもこちらの世界に来ている、ってのは最終回で明かされてたけど、彼と彼のよく知る錬金術の存在に目を付けるのが、トゥーレ協会と発足したてのナチの一党。さまざまな思惑が交錯する中、果たして兄弟は再会できるのか、ってなお話。トゥーレ協会やらナチ(ルドルフ・ヘスが主要なキャラとして登場。ゲーリングの名前もちらっと出てくる)やらオーベルトやらフリッツ・ラング(ちゃんとウーファーの撮影所も出てくる)やら知った名前が続々登場。ケッテンクラート症候群患者としては、劇中出てくるBa349(ナッターですな)もどきの単座ロケットでややウケ。
去年の映画だし、以下ネタバレでもいいよね? さて、原作好き、キャラ好きの人はどう思うか知らんけど、1923年のこっちの世界のドイツ、という、どう見てもこの先鬱な展開しか待ってないところに敢えて兄弟を放り出して劇終としたスタッフの根性は買います。「人は世界と係わらないで生きていくことは出来ないんだ」というのが映画のテーマであるならば、この終わり方はアリでしょう。おなじみのキャラのおなじみの設定を掘り下げる、っつーある意味楽でウケも取れることをやらなかったのはそれなりに偉かったんじゃないかしら。
美術はとてもキレイ。CGI周りの使い方はちょっとやり過ぎかな、って思わなくもない。一番問題なのはカット割りかなあ。特に前半に、どうにも見る側のリズム感を削ぐようなカット割りが顕著なような気がした。でもま、悪くないんじゃないですかね、これは。
ジョン・C・ライト 著/日暮雅通 訳
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011585-0 \1000(税別)
1000年おきに開催される仮面舞踏会。それは電子技術とバイオテクノロジーの発達により、ついに事実上の不死を達成し、"黄金の普遍"と呼ばれる黄金時代を築き上げた人類社会全体を祝うセレモニー。惑星規模のさまざまな大規模プロジェクトに係わってきたエンジニアで"黄金の普遍"を統べる賢人の一人を父に持つファエトンもまたそのセレモニーの輪の中にいた。だが、ひょんな事からパーティーの席を外したファエトンは、意味の分からぬ話をする人物と出会うことで、自分の人生の中に記憶の欠落した部分があることを知る……
ざっと600ページ超の比較的厚めな本ながら、著者のライトさんは本書を3部作の第1部として書き上げており、しかも3部をまとめて1冊の本という形で出版したかったのだけれど、出版社側の配慮で3分冊での出版の運びになったのだとか。もし著者の意向が通っていたらこれ、「啓示空間」より分厚い本になってたのかも知れない。何やら最近の海外SFは、めったやたらな重厚長大傾向があるようで。
さて、600ページってのはそれなりの大部であるが、本書は物理的な600ページという分量を超え、800ページ近いボリュームを読む側に感じさせる本になっている。ぶっちゃけ、読みにくいのだわ。お話のバックボーンになっている、さまざまなテクノロジーの発達のおかげで人間はいくつものバックアップを用意でき、さらに人間の生活の多くが生身ではなく、バーチャルな空間に投影して営むことが常識化している世界、という舞台設定(金持ちほどリソースを大量に使えるので、バーチャルワールドのリアリティが増す、なんて描写はかなり面白いんだけど)が、お話を必要以上にややこしくしていると感じられる。
とにかく全編にわたってテクニカルタームとそれにまつわる冗長に過ぎるんじゃないかそれは、と言いたくなるほどくどいト書きがあふれかえり、読んでてしばしば、自分が何を読んでいるのか、訳が分からなくなってしまうのだな。おかげで読み切るのにずいぶん時間がかかってしまった訳だけど、実はこれ、ひいひいと苦労しながら読んでいき、全600ページの8割5分ぐらい(500ページ過ぎ、ぐらいですね)読み進んだところで、突然そのくどさの裏に潜んでいる正体のようなものに気がついて、ちょっと、いやかなり笑ってしまう事になるんだった。少なくともわたしゃ笑った。
これ(ほとんどスペース成分無いんだけど)、スペースオペラなんだね。あるいはくどくどくどくどと訳の分からぬ退屈なことを書き連ねてきて、その末に言いたいことってのが、「なあおい、スペースオペラやろうぜ、あれはいいぜ」ってことなんだよな。超絶的に進歩した科学が実現させた不老不死と完全平和な社会。そこに暮らす人間は、もはや神と変らぬ存在と言える。その代償として人間たちは敢えて荒海に乗り出す気概より、太陽系内での安寧ばかりを重視する。おいおいそれで良いのか、人間ってのは冒険しなきゃダメだろう、と立ち上がるのが主人公だったりするわけだ。
500ページかけて念入りにやってきた退屈展開が、何やらやたらに既視感ばりばりの、手垢のついた"フロンティアスピリット"礼賛で反論される瞬間、というのはまあ読んでるこっちとしては「ばかものー」(褒めことば)と言いたくなるくらい面白いのでそこでかろうじて元は取った気分、といえるかな。ただやっぱり読むのに苦労する一冊ではあると思う。続きが2冊あるわけで、そちらは冒険の度合いが増しているらしいので、本書ほど苦労しないで読み進められるものになってることを期待しておきますわ。
(★★★☆)
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