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森博嗣 著
カバーイラスト 西尾鉄也
カバーデザイン しいばみつお
中公文庫
ISBN978-4-12-204428-9 \590(税別)
あらすじとかは割愛しますね。adramineさん、根岸泉さんがラストのちょっとした改変に触れてらっしゃったので、んじゃ原作はどうなっているのよ、と。
映画を先に観てしまっての感想になるのだが、なんだな、押井守はやっぱりすごいんだな。この「いわゆるひとつのセカイ系」にどっぷり浸った、夢と現実の間を行き来して、「今自分がいるここは夢の中かも知れないけど、いいんだ、オレ、夢から覚める方法知ってるもん」でいろんなモノをうやむやにしてしまっている原作から、よくぞあの映画をでっち上げたものだと思った。基本的に原作のスジを大きく変えることをせずに、ごく小さな改変で最終的なラストの感想にかなり違った印象を伝えてくれる。ラストもそうだけど、脇役のユダガワ(読売新聞折りたたむ人ね)の扱いにも微妙な改変がかかっていて、ここもラストに向けてのお話の流れの上で無視できない効果を上げていると思った。押井守って人は、SFのことは何もわかってないかも知れないが、映画のことは良く判っている人なんだと思いましたわ。基本的に根岸泉さんの評はほぼ信用しつつ、押井守作品については少々点が甘いんじゃないかと常々思っている私なんだが、今回は一点を除いて根岸さんの評に同意できる。一点だけダメなのは、わたしゃ根岸さんほどにはこの映画、他の人に自信を持って強くお勧めすることはできない、ってあたりだろうかね。
いけないいけない、原作の方の話がそっちのけになってしまっていた。えーとね、悪い本じゃないと思う。なんだかちょっと、「セカイ」のいろんなモノに割り切れないモノを感じつつ、でも、そのことに対して今の自分の力では有効なアクションを起こせない、あるいは起こせないような気がしている、と思いこんでしまっている若い衆にとって、それなりに心地よいお話になっているんじゃないかな。自分がハイ・ティーンだったら多分、顔を真っ赤にしてこの作品の良さについて熱弁しそうな気がする。思わせぶりな文体や、語っているようで実は大事なことは片っ端からあやふやなままで投げちゃってるお話作りのスタイルも、特定の年代の読者にとっては応えられない魅力になるんであろう。
ただなあ、オレ、オッサンなんだ。いろいろすれっからしになっちゃってるんだよね。だもんでそれなりに読ませる部分があるとは思う反面、「何フヌケてんだよ」って気分も同時に湧いて出てきちゃうのは否定できないわけで。若い人ならまた違う印象を持たれるのかも知れないけれど、おっちゃんにはいろいろ辛かったぜ。
あんまり関係ない話だけど、押井守がこの本に注目したのは、途中でどうしようもなくマズそうな食い物の描写が出てきたからじゃなかったのかなあ、とか思ったり思わなかったり。
ラザニアっぽいどろっとした料理、スープに沈んだひねくれたパスタ、それから、缶詰から解放されたシーフードと玉蜀黍。フォークとスプーンはプラスティック製だった。
こんな押井クサい描写、そうそうあるもんじゃないぜ(^^;)
★★☆
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お久しぶりです。<br>>基本的に原作のスジを大きく変えることをせずに、ごく小さな改変で最終的なラストの感想にかなり違った印象を伝えてくれる<br>俺にとっての攻殻が正にそれでした。こりゃやっぱ見に行かないとダメか。お金が(´Д`;)