カテゴリ一覧
Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士
古橋秀之 著
カバーイラスト 岩原裕二
徳間デュアル文庫
ISBN978-4-19-905092-3 \733(税別)
→amazon(ユーズドのみ)
ボスコーンとの戦いはパトロール隊の勝利で終わった。だがそれが銀河系からあらゆる悪を掃討したことにはならない。今もなお、宇宙に悪は存在し、パトロール隊との戦いは続いている。今も一人の新人レンズマンが憎むべき麻薬業者の追及任務の途中だった。籠城を決め込む麻薬業者に対して今ひとつ思い切った対応を取れないでいる彼、ビルの元に突然レンズを介して入った通信。それは増援として到着することが予告されていた軍事情報局所属のレンズマン、クザクからのメッセージだった。一気に惑星外から宇宙服で敵の許に突入する、とのメッセージからいくらも経たぬうち、麻薬業者のアジトは制圧され、残骸となったその地に生きて経っているのは一人のレンズマンのみ。痩身に黒髪、特別あつらえの日本刀を武器とする盲目のレンズマン。彼こそ"サムライ・レンズマン"の通り名で知られるシン・クザクその人だったのだ…。
買取物件からピックアップシリーズ、その2。"レンズマン"大好きなオレに、刊行当時に「面白いよ」って声をかけてくれた方もいらっしゃったんだけどその時は「ふーん、でもまあどうせもにょもにょ…」で敬遠し、しばらく経って「読んでみようかな」と思った時には意外に入手困難になってしまった本たちの一冊。なんだかんだ言って入手できたのは8年後(w。
読み始めの感想としてはどちらかというとパッとしない感じ。キャラクタの書き込みが入念にすぎて、「なんかレンズマンじゃねえなあ」的な気分が前に出てくる感じだった。"レンズマン"的世界の住人ってのは、呆れるくらいキャラクタの掘り下げが薄っぺらで、そこの所の、良く言えばドライ、悪く言えば貧相なキャラクタ造形がある意味このシリーズの魅力の一つで、それがあるからこそ「レンズの子ら」で、かなり冷水ぶっかけられたような気分にさせられる土壌が醸し出されることになるんだと思うけど。
ただ、序盤のがっかり感を我慢して読み進んでいくと、中盤以降なんだか妙に楽しくなってくる。作者が"レンズマン"世界のキイ・ワードを適当にちりばめたオマージュ作品を作ろうというのではなく、"レンズマン"の世界を忠実に引っぱって来つつ、そこに著者独自の物語を構築しようとしている雰囲気が見えて来るあたりから、基本は別物なのに、いろんなところにオリジナルへのリスペクトが見えてきて、そこでなんだかニヤニヤしてしまうのだな。
当然押さえておくべきキャラや用語はもちろん、ちょいと深い方向に突っ込んだ用語や人物の名前がお話の流れの中で無理のない形で登場してくるあたりの著者のさじ加減の巧さと、そこに紛れて関係ないネタ(ジョナサンとかな)まで紛れ込ませて来るあたりの遊び心を入れつつも、最後には燃えるしかない展開を、メインからは半歩ばかり退いた所にいるヘンダスン君に担当させるあたりはちょいと上手い。そこに続くヤマ場で、オリジナルで最初に登場した(そして思ったほどには印象的ではなかった)アレを最後の切り札的に使ってきたあたりで、割といろんな事を許せてしまった。"レンズマン"には「ドラゴン・レンズマン」と「リゲルのレンズマン」(だったかな)というスピンオフがあったけど、シリーズのエッセンスをちゃんと受け継いでいるかどうかって話を別にして、お話本体として面白いかどうか、ってとこに限ったらばこの作品、向こうの連中より遥かに良い仕事してるんではないのかね。英訳されてこの面白さがどのくらい出てくれるのか、についてはちょっと分らんところがあるけれども。
★★★☆
前 | 2009年 2月 |
次 | ||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |