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2009-02-28 [長年日記]

[Books] ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ

ラギッド・ガール(飛浩隆/著) 飛浩隆 著
Cover Direction & Design 岩郷重力 + Y.S
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
ISBN978-4-15-208767-6 \1600(税別)

電脳空間に設立された仮想リゾート、"数値(コスタ・デル・ヌメロ)海岸"。様々なテーマやアトラクション性で様々な"区界"に分けられたこの世界に、現実世界の住民たちは自らの人格情報のコピーを情報的似姿として数値海岸に送り込み、そこでの体験を記録して帰還させ、自らが望む時に向こうでの体験を追体験できる。だが今、数値海岸を訪れる"ゲスト"の姿は絶えて久しい。それでもいつか来るかも知れない"ゲスト"をもてなすため、数値海岸に配置されたAIたちはそれぞれの日常を送っていた…

買取物件からピックアップシリーズ、その4。「グラン・ヴァカンス」の物語から時代はぐっと遡り、そもそも数値海岸とは誰がどのようなきっかけから構想を得、その構成を実現する上でどのような技術的ブレークスルーがあったのか、そして何が原因で数値海岸にはゲストがやってこないのか、そして「グラン・ヴァカンス」の物語で重要な意味を持ってくるある存在が、どのようにして生まれたのか、ってあたりを解き明かしていく5つの物語で構成された短編集。今回も最初の作品、「夏の硝視体」がいい具合にきゅんきゅん来るジュヴナイル要素を秘めててくれてるんで、「今回こそは…」なんて期待すると、そんな淡い期待は2作目「ラギッド・ガール」でばっさり切り捨てられる。微妙にエロく、過剰にグロく、そして今回はかなり「硬度」にSFしてる。

何せ前作では、肝心のお客がやってこない時期の数値海岸が舞台なので、そこがどういうシステムで構築されているのか、ってあたりの説明はそれほど詳しくは為されていなかったわけだが、本作ではそこら辺にかなり切り込んだお話が用意されている。で、ここで語られる数値海岸のシステム的な背景部分の描写にかなりワクワクさせられる。

前作で読む限り、「マトリックス」におけるマトリックス世界のようなものなのか、と思っていた数値海岸のシステムは実はそういうものとはちょっと違い、作中で語られる「ビデオの留守録」みたいな世界であって、それを可能にしたのが「視床カード」と呼ばれる新技術なわけだが、このあたりの「情報」と「認知」あたりに鋭く切り込んだSF的アイデアの拡がりぶりが、読んでて実に楽しいのだった。そこで「いえーい」とか歓びかけたところに、「うへえ」と思わせるエログロがええ按配で被さってくるあたりのお話づくりのさじ加減も心憎いと言える…のかな(^^;)。

この、基幹の部分をワキから固める形で随所に挟み込まれる用語の遊び、みたいなものもちょっと興味深く、ここでこういう名前を持ってきたことには何か意味があるのだろうか、等と読んでるこちらが勝手に深読みモードに入ってしまって、読んでいく上での油断ならなさのようなものを上手い具合に増幅してくれている感じもあるね。

基本的に大きな世界を舞台にした連作集なだけに、逆にそれぞれの作品のボリュームとしての短さに少々不満を憶え、「もうちょっと読ませてくれよ」と思ってしまうってあたりが唯一の欠点か。そこは「空の園丁」という仮題がアナウンスされている三部作の完結編に期待、ということなのだろうな。

★★★★

グラン・ヴァカンス(飛浩隆/著)

こちらが第一作、「グラン・ヴァカンス」。どちらも未読なら、あえて「ラギッド・ガール」を先に読むのも良いかも。

[F1] ブラウン・レーシング?

F1通信でもおなじタイトル、ブラウン・レーシング?。旧ホンダF1チームのマネジメント・バイアウトが成立した、みたいなニュースは朝日新聞でも小さく報じられてたし、どうにかこうにか存続への目処は立ったような雰囲気もありつつ、ここに来てニック・フライの動きが妙に見えてないのと、ホンダ本社のコメントから妙に奥歯に物が挟まった感が払拭されてないのがなにげに気になったりもしてるわけなんだが、具体的に今どこなんだろうね。おなじF1通信では、ブラックリーにおける反乱 - しかし解決策はあるなんてトピックもあったりするし。

なんにせよあと4週間で今年のF1、開幕するんですけど。どう見てもかつては天下の「ホンダ」の看板を背負ってたチームが、今やアグリ並の迷走状態にあるようにしか見えないんだけど、大丈夫なのかね。何だかんだ言って、ホンダも完全に手を切っているわけではないんだよね? どうなることやら。


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