ばむばんか惰隠洞

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2010-11-05 [長年日記]

[Books] ヴァンパイア・アース -<狼>の道-

ヴァンパイア・アース : 〈狼〉の道(Knight,E.E/著 佐田千織/翻訳 KnightE.E./著 ナイトE.E./著) E・E・ナイト 著/佐田千織 訳
カバーイラスト 岩良ノマ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011782-5 \1000(税別)

21世紀の初め、突如蔓延した謎の疫病によって地球は一気に荒廃する。この災厄の影には太古から地球人類をつけ狙っていた異星の生命体、クリアンの姿があった。ライフウィーヴァーと呼ばれる、高度に発達した知的生命体の一種族だった彼らは、太古の超文明が残した禁断の技術を用いて、自らを不死の種族に仕立て上げ、他のライフウィーヴァー達を食い尽くしてきたのだ。クリアンが不死の状態を維持するには、高度な知性を持った生命が持つ生体オーラが必要になる。人類はその格好の供給源にされてしまったのだ。だがこの不死の怪物達に立ち向かう、人類の戦士達がいた。ライフウィーヴァーによって特殊な能力を持った彼らは<狩人>と呼ばれていた…。

SFとしてジャンル分けするなら侵略SFというか侵略されちゃったSFというところか。ただ、SFぽいなあと思えるのは敵であるクリアン達がどういう存在で、何用あって地球にやってきたのか、というところの理由付けの部分だけで、お話そのものは、クトゥルー風味の異形のものと闘いながら成長していく少年の物語。主人公のヴァレンタインはどちらかというと地味目で、人よりも観察眼に優れた少年としてお話に登場し、幾多の試練を経て少しずつ立派な戦士に成長していく。で、当然主人公なのでどうやらいわゆる「選ばれたもの」であるらしいことが何となくわかったところでこのお話は終了。

著者のナイトにとってこの本は2つめに書いた小説(最初の作品は誰にも見せてはいないんだとか)で、出版までにはそれなりの曲折もあったけれど、いざ世に出てみたらなかなかの人気を博し、1年1作のペースで現在までに8作が出版されている人気シリーズになっているらしい。SFとしての小難しい理屈は舞台設定として使うにとどめ、あくまで少年から男へ、青二才から戦士へと成長していく一人の人間の冒険を描いていくところが面白いのだろうと思うが、多分この面白さ、日本人であるワシらには上手く伝わらないんじゃないかと思う。

多分このお話のベースというか、このお話を読んで欲しいと思っている層というのは、子供のころにトム・ソウヤーとかハックルベリィ・フィンの冒険物語をイヤっちゅー程読んで来た人たちなんじゃないかという気がする。広大なアメリカの自然に触れ、そこを縦横に駆け回り、自然の厳しさや怖さ、見知らぬ大人や自分たちとはちょっと違う暮らしをしている人々と触れあって様々な経験を積んでいく、様なお話で、そういうお話のイメージを、想像ではなく実生活で体感できるかどうか、ってところで、受ける面白さにはかなり温度差が生じるのではないかな。

なので狭苦しい島国の片隅で本の虫になっていたかつての若造である自分なんかは、本書の割と早い段階で、主人公のヴァレンタイン君がライフウィーヴァーの生き残りに投げかける疑問の方に、むしろ妙にしっくり来るものを感じてしまうのだった。

「いいえ、わかります。ぼくが疑問に思うのは、あなたのやり方です。ある種の進んだ科学技術で武装させるかわりに、ぼくたちを野生化する。ぼくたちが戦争に勝てるよう手助けする方法としては、奇妙に思えるんです」

全くだよ。オレたちに必要なのは波動エンジンだ(w。

どうだろなー、日本語で続きを読めるかどうか、ちょっと微妙な気がしますな。

★★★


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