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タニア・ハフ 著/中村仁美 訳
カバーイラスト 増田幹生
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011797-9 \1000(税別)
部隊の半数を失う過酷な戦闘を生き延び、つかの間の休暇を楽しんでいた<連邦>宙兵隊の2等軍曹トリン・カーの許に異例の出頭命令が届く。新たに<連邦>への加盟を検討中の異種族、シルスヴィスへの使節団を警護すると言う名目で、経験豊富な宙兵隊による儀仗兵部隊の選抜を命じられたのだ。外交活動の一環であり、戦闘目的ではないにもかかわらず、なぜ実戦経験のある兵士達が必要なのか? 訝しく思いつつ、休暇を切り上げられて不平たらたらな部下達をまとめ、新任の少尉を加えて新たな任地へ向かうトリンたちだったが……。
進んだ星間航行種族が暴力的な異種族と遭遇し、それへの対抗策として若く(しばしば暴力的な)種族に助力を求めてきて、そこで白羽の矢が立つのが地球人、って流れだと、最近ではポスリーン・ウォーなんてのがあったけど、あちらは基本地球人メイン、こちらは助力してくれる若めの種族が複数あって、種族間の生態的な差異とかが少しお話の流れに影響を与えてくる、なんてあたりがちょっと新機軸か。あとはなんだな、極めてオーソドックスにまとまったエンタティンメント・戦争アクションで、ノリとしてはまあ、アラモの砦だ(著者のイメージはズールー戦争だそうですが)。
殺る気満々で押し寄せる、なにを考えているのか良くわからないヤツらの大軍相手に、勇敢なごく少数の戦士達が戦うって図式は、敵の方を不気味で容赦ない存在として描くがゆえに、どうかすると敵の扱いが外道になってしまい(『ブラックホーク・ダウン』とか)、そこに何となくイヤな感じを抱いてしまうこともあるわけだけど、本書でもその傾向は少々ある。この作品での「敵」は、<連邦>が仲間に引き入れたいと思っている戦闘種族達で、つまりはのちに味方になる種族。それがなぜ敵として襲ってくるのか、って部分については、もちろん説明はあるのだが、その理由がちょっとワガママというかなんというか。事件が起き、それを収束させるためにこういう設定にした感が少々先に立つという感じかな。そこで少々、「勝手なこと言ってらぁ」って気もしてしまうんだな。
とはいえお話の展開自体は、オーソドックスながらもツボは押さえてて、読んでる間はそんなに退屈はしない。事件が本格的に動き始めるまでの前振りがちょっと長すぎるんじゃねーの? とか、主人公達が直面する障害の部分にもう一声欲しい、とか言えば言えるけれども、一応まとまりはあるし、それなりの分量の本を読み切らせるだけの面白さはある。
特筆すべきは、宙兵隊の荒くれ兵士達の会話の部分の面白さだろうか。話の内容とかセリフ回しのテンポなんかがかなり良い感じで、それだけでもお話を楽しく読んでいく原動力になってくれている。翻訳を担当された中村仁美さんも頑張ったのだろうな。そこは認めるし、実際良い仕事だったと思うけど、それだけに本書、野田昌宏さんが訳されたらどうなっていたかな、なんて事もちょっぴり思ったことでした。今となっては詮無きことではあるのですが。
★★★
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