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2005-06-14 [長年日記]

[Books] 海を見る人 (24:06)

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)(小林 泰三) 小林泰三 著
カバーイラスト 鶴田謙二
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030797-0 \700

一人ぽつねんと浜辺に座り、遠く海を眺める一人の老人。彼が目にしている物は遠い恋の記憶。そして見られている物は悲しい今その瞬間だった…。表題作他6編で構成された、ハードSF短編集。

「目を擦る女」に続く小林泰三の短編集。前のがなんというか、すばらしく懐かしい味わいに満ちた短編集であった訳だが、今回もまた、懐かしさに満ちあふれた物になっている。ただし今回の"懐かしさ"は前回とはちょっと毛色が違っていて、ごくごく個人的な回想になってしまいますが、'80年代初頭、当時続々と訳出されていた、ニーヴンらの作品に代表されるハードSFに初めてぶち当たったときの、「いや、なんか凄いことがここでは起きているのだろうけれど、えーとえーと、つまりその仕掛けはどういうもの?」という、当惑が先に立ったような読後感を味わっていた自分がいたなあ、懐かしいなあ、というそれな訳だったりする。こういうの読んでオロオロしてたよなあ、SFがちょっと自分の手に届くところの先に行っちゃいそうだなあ、と思った、あの記憶が蘇りますな。鶴田謙二の柔らかいイラスト、カジシン作品かい、と思っちゃう帯の惹句で勝手にイメージをつくり、無防備に本書のページを開いた次の瞬間、わたしゃちょっぴり本書の編集者を呪いたくなったよ(w。

本書に収録された7編はすべて、どこに出しても恥ずかしくないハードSFだ。著者の小林さんは"あとがき"の中で「ハードSFの素養がなくても、ファンタジーとして充分楽しめる物になっている」(大意)と書かれているが、これは半分あたってて、半分外れだと思う。ファンタジーとして充分楽しめるのは間違いないが、ハードSFと言う物を、"わかる"かどうかは別として、少なくともその読み方をある程度訓練した人でないと、この本は楽しめないんじゃないかしら。ここは飛ばし気味に読んでも大丈夫、ってあたりの匙加減がわからないと、要らんところで苦労しそうだなあと言う気はする。もちろんワタシみたいに「ええいここも飛ばしてしまえー。たぶん大丈夫だろー」などと自分を過信してもいかんのですけどね。

そんなこんなで、それなりに読み手を選びそうな本ではある。ちょっとした読むコツがあれば、叙情あり、ユーモアあり(ちょっとブラックだけどな)、独自のパースペクティブありと、バリエーションに富んだ短編を楽しめると思うのだけれどもね。

ということで収録作品ごとに短いコメントを。ネタバレもあるかも知れないので前もって謝っておきます。ごめん。

時計の中のレンズ

一発目からもろに"ノウンスペース"のイメージがあったので、個人的には「カバーのイメージはいったん忘れた方が良さそうだ」などと言う気にさせていただいた。ちょっと「インテグラル・ツリー」の雰囲気を感じたかな。ただ、ここで語られる世界はもう少し念が入っている。アイデア側の仕掛けを語る必要が結構ある分、ストーリー側にもう一歩、ふくらみが足りなかった恨みは残るかも知れない。

独裁者の掟

これは構成の妙にこちらが幻惑されてしまった。落ち着いて読めば登場人物の立ち位置がパラグラフごとに微妙に変わっているのに、それに気付かなかったこっちの負け。ちょっと光瀬龍のジュブナイルSFのテイストがあると思った。

天獄と地国

これのどこが面白いかというと…って、と学会じゃないんだから。で、これのどこに真の面白さがあるのか、解説で知るか読んでるうちに「ははん」と思うかで読者のハードSF者係数がわかるような作品。もちろんワタシは解説読んで「な、なんだってー」と思ったクチです。アイデア的にはニーヴン風味なれど、お話のトーンはベンフォードっぽいですね。正体がわかったあとは、本作こそ本書の白眉のような気がしてくる。

キャッシュ

電脳ハードSF、あるいは小林泰三的「マトリックス」って感じですかね。

母と子と渦を旋る冒険

なぜか童話仕立て。なのだが扱っている内容のスケールはとてつもなく大きい。話の本室とは関係ないんだが、キャラクタのネーミングがなぜそうなのか、を考えると夜も眠れないような気になってしまう。なぜ×××なんだ? 普通にススムくん、とかじゃなぜダメなんだ? ああ気になる。

海を見る人

前の短編集でもチーラ人、またはメスクリンな世界を描いた短編があったように記憶しているが、本書の根っ子もそれ。有り体に言ってしまえば地球人に恋したチーラ人の話なんですな。美しい話ではある。が、ちょっと先に設定ありきな感もなしとしないな。

ハードSF的に(スター・トレックの)転送装置をちゃんと定義しよう、そこからさらに何が見えてくるか考えてみよう、な作品、だと思う。だって途中で登場する宇宙船の名前が(^^;)…。お話の結末が割と早い段階で割れちゃうのが惜しかったかなあ。

というところで。全体としては実に楽しく読ませていただいたのだけど、「タフの方舟」同様、本の体裁でなんだかなーこれは感が残ってしまう恨みはある。なんかこう、カバーイラストやら帯やら愚にもつかん巻末マンガやら、要らんことやり過ぎなんではないかいな、と。ここまでやらんとハヤカワの本は売れない状態になってるんでありましょうか。それはそれで困ったことではありますなあ。もちろんそういう部分とは別に、本書自体は充分に楽しい一冊であるわけで、そこを貶めようとか言う気は全然ないのですけど。

ハヤカワ文庫がぬえ系のイラストレーターさんを多用し始めた(とはつまりワシらがハヤカワ文庫を買い始めた頃)時に、もしかしたら古くから(例えば『銀背』からの)のSFファンは、今の私と同じ気分を感じたりしたんでしょうかね。それだけの話であれば良いんだけど、と、これは余計な話ではありました。

(★★★☆)

[Day] 家族の疑惑 (24:29)

さっきお酒のあてに、と思って冷蔵庫を開けて、新生公司の焼豚を引っ張り出したときに気がついた。夕方までは誰も手を付けてなかったヱビスビール6本パック、2本なくなってる。ん?

買い物から帰ったカミさんが缶ビの栓を開けることは良くある。あるけど二本は飲まん。オレは今日はビール飲んでない。なんで二本減ってるんだ?

もしかして、キミ?>倅

ここまでずーっと、風呂上がりにはヨーグルトとかぜりーとか、なかなかお子ちゃまなモンを喰ってたキミ、もしかして風呂上がりにはビールでぷはー、に方針切り替えた?

うーむ。

父としてはうれしいような、酒代がかなわんなー、なような気分ですわあ。


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