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安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」(11)、細野不二彦「ヤミの乱破」(2)、一条ゆかり「プライド」(5)。アニメの方ではすでに始まっていたジオン独立戦争の前夜を丹念に追っていく…ってあの戦争、ギレンが仕込んで(シャアにたきつけられた)ガルマが火を付けたモンだったんですかい。なるほどー。あと、ドズル兄さんの恋愛話がなかなかよござんした。「乱破」は、えーとなんちゅーか、戦後闇市時代の社会の暗部に鋭く斬り込む社会派ミステリ…だと思ってたら実は案外トンデモ風味満タンで、楽しめるというか、なんなんだこれはーな感じというか。いきなり保坂正康氏が引き合いに出されてるのにもビックリした。「プライド」は…、いまだに1巻しか読んでないのよ。まいったね。
「種デス Final Plus」、「2005 F1GP総集編 第2部」。昨日の深夜にやってたもの。デス様の方は、本放送時の最終回以降、登場人物達がどんな行動を取ったのか、を描く話なのかと思ったらそうでもなく、早い話がやっぱりあの最終回、30分で話まとめるのは無理でしたごめんなさい、実はこういう風にしたかったんです、ってなノリなんですな。まあその割に、単に見せ場を水増ししましたって感じと、シャア議長の子供っぽさばかりが強調される結果になっちゃってたような気もするけど。
F1総集編の方は、いわゆる「ジャパンパワー」に焦点を当てて今年を振り返るような構成。後半のアグリチーム設立の動きのあたりは、ちょいと興味深かった。ただ、やっぱりとっかかりに何があったのか、ってのはよく見えてこないんだけど。
前半は主にタクの苦労多くて実りのない一年が描かれる。さすがフジテレビ、微妙にジェンソンが悪役に見えてくるような造りにしてきているなあ、なかなかうまいもんだなあ、と妙に感心した。それにしてもダイジェストにされると、今年のタクのさんざんぶりがよくわかるな。最初は不運だったんだけど、タクは最後まで、不運が生んだ逆境を跳ね返せないままにシーズンを終えちゃったのだなあ。来シーズンの出だし(出られるとして)に幸多からんことを。
ジョージ・R・R・マーティン 著/安田均・風見潤 訳
カバーイラスト 瀬戸羽方
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ.
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011534-6 \800(税別)
すでに地球が"オールド・アース"の名で呼ばれている時代。宇宙の果ての星々に棲み、あるいはそこを訪れた者たちが体験する奇妙にも恐ろしく、そしてもの悲しい物語。表題作を含む7作収録。
SF読みならこれは読んどけ、って本はいくつもあるけれど、そうはいってもなかなかすべてに手が回らないのは仕方のないところ。わたしゃ古本屋やってるんで、それでも他の人よりは多少有利かも知れないけれども、実は「読んでおこう」と思った本から先に売れちゃったりすることも良くあることで、なかなかこの辺、難しい。なに、読んでから店に出せよ、ってですか? それもそうですなあ(^^;)。
さて、そんな私にとっては本書も「読んどかな」と思いながらなぜか手に入れる機会に恵まれなかった本。「フィーヴァードリーム」と「ワイルド・カード」がなかなか面白く、それらを読んでる過程で「サンドキングズ」もすげーんだよ、って話は聞いてはいたのですが、どういうワケだかこれだけは手に入れ損ねていたのでした。復刻感謝です、ハヤカワ書房様。
そんなこんなでようやく読むことができた本書だが、これがまた「フィーヴァードリーム」の常に霧がかかったような薄気味悪さとも、「タフの方舟」のシニカルな視点とも、さらには(主に設定の部分で力を尽くした作品なのだけれど)「ワイルド・カード」の妙にからりとした奇怪さとも、少しばかり違ったトーンを持った作品たちが収められている。まあ、それらの要素が少しずつ、本書の各短編には反映されているとも思えるけど。ということで各短編の短い感想。
元中国共産党の高官が法皇を務めるキリスト教世界の熱心な伝道師が、文鮮明を懺悔させに行く話(おーい全然違うぞ)。ここに登場する、邪宗となったキリスト教の教典の内容が、「異端」な物が本来持っている理屈抜きの魅力に満ちあふれていてステキ。それは所詮「ウソ」なんだが、んじゃあ今我々が信じている宗教ってのはどうなのかね、というシニカルな問いかけも同時に投げかけられてる。
アーサー王伝説に登場する魔女モルガンをモチーフにして構成された、「雪の女王」のようなお話、なのか。ファンタシー色が強いSF作品。
こちらは実になんというか、ファンタジーRPG風味に満ちた作品、といいますか。ここに「ワイルド・カード」的フリークス趣味がまんべんなくちりばめられている。
超光速航行と「不死」のイメージをテーマにした作品。何となく星野之宣氏のマンガで読んでみたいような気がする。
してみるとこちらは、マンガにするなら諸星さんだろうか。何ともいえないうらぶれ感がとても魅力的。
んーこれはだれのマンガで読みたいかな(ぉぃ)。むりやりこじつけるなら篠原とおる、って事になりますかね。宇宙の果てのやさぐれ租界を舞台にした、はぐれ者たちの物語。他の作品でも見られるんだけど、マーティン作品のすぱっと切り捨てるような、オチの付け方のステキさが際だってる
これはもう藤子不二雄先生ですね。途中から楳図かずおにスイッチしてる感じもあるけど(w。アイデアで引きつける、オーソドックスなタイプのSFとして始まり、途中からどんどんホラーの王道に車線変更して加速していく。複線の張り方のうまさに、ある程度こっちも予想してるんだけど、それでもブルッとしながら同時にニヤリとしちゃうようなうまさを感じますな。楽しめる一作。
というわけで、さすがにいわゆる"レイバーデイ・グループ*1"の一員とされるマーティン、テーマの拾い方のうまさと、それをお話に仕立てる、って部分のうまさ、ともに高いレベルで持ってるよなあと感心させられたわけでした。そつがなさ過ぎて、強烈な印象がない、とも言えるのかも知れないけど。
(★★★★)
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