ばむばんか惰隠洞

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2009-03-05 [長年日記]

[Oldbooks] 乾燥トマトにお水を少々6 (24:59)

9784150308841ちょいとブクオフ覗いたら久しぶりに続きを発見したので確保。グイン・サーガ113「もう一つの王国」。グイン一行は相変わらずタイスでグダグダ。ついに中原最強と言われる闘士、ガンダル(なんかパチモンくさいネーミングなのはこの際不問って事で)とまみえたグインは、さらにタイスに秘められた秘密の一端に触れることに…。

相変わらず少々トロい展開で読んでてイライラするんだが、気になるのは「あとがき」。体調を崩した温帯、お医者の薦めで禁酒を断行なさったそうだが、するてえと何かい、ここまでの「グイン」、かなり酔っ払った状態で書かれてたって話だったのかい? と。まあそれならそれで納得できなくもない気はするんだが。

続く114にも手を付けてみたんだけど、こっちはフィーチャリング、中原一イラッと来る女フロリー、って事で予想通り目が滑りまくる一冊だったのでとても最後まで読むことができず、耐えられずに別の本にシフトさせていただいたわけで、代りに読んだのは……、

[Books] 天体の回転について (25:00)

9784152089069 小林泰三 著
カバーイラスト 中臣亮
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
ISBN978-4-15-208906-9 \1700(税別)

親たちは言いつけを守らない子供を叱る時、「そんなことを言ってると科学者になっちまうぞ」と脅されるこの世界。荒廃したこの世界は、科学者たちによってこの有り様になってしまったのだ。だが俺は科学がそんなに悪いものだとは思えない。同族たちが妖怪の出没を怖れて近寄らない森も全然平気だ。そしてそこで見つけた「望遠鏡」で月を眺めた時、俺はそこに自分の科学への飢えをいや増しにさせるものの姿を目にする…。表題作を含む8編収録。

買取物件からピックアップシリーズ、その7。小林泰三といえばどろどろ、ぐちゃぐちゃな感じを先入観的に抱いてる部分があるもので、この萌え系にシフトしたカバーイラストはどうなんだろう、と思わなくもないが、まあこれはこれで本書に即して無くもないとは言えるので良しとしましょう。非常にシンプルかつ高いリーダビリティと巧妙なミスリードを誘発させる構成の巧さでさくさく読ませる。少々重みにかけるのではないか? とさえ思える作品群で、すれっからしなSFファンには食い足りない部分があるかも知れない。とは言えSF初心者に向けての入門書とするにはうーんどうだろ的な部分もあったりして、ちと微妙なところではあるな。以下、作品ごとに簡単に。

天体の回転について
表題作。今クラークが30代でアキバの常連だったら、こういう話を書いてたかも知れない(w。プロパー宇宙SFとして過不足はないが、さりとてハードSFとしてのパートにもうひと声、尖ったところがあるというわけでもなく。オチのペーソスで救われたかな。
灰色の車輪
ロボット工学三原則をテーマにした作品。かの有名な三原則は実は意外に拡大解釈を可能にする余地が残されてて、それがこのテーマで数多の名作を生み出すことになったと思うんだけど、本作でも三原則をさらに厳密に遵守するためのアドオン(?)の存在が、お話の中で重要な意味を持つ。そこはいいんだがここでも自分と同年代(誤差結構大)の作家さんたちに見られる、同時代故に分かり、分るからなんだか鬱陶しいネタが仕込まれててそこでちょっと引く。ブライときたらそこにはさらにカタカナ三文字繋がずにはいられないものなのかね。たまにはマーロン・ブランドに繋げとか言う気は、さらさらないんだけどさ。
あの日
ちょっとヤバい。ノリとしてはまあ、笑って読むべき一編なんだろうけれども、ヒキのためのネタとして描写されるパートがちょっとシャレにならんネタなんでね。笑うべきなのか眉をひそめるべきなのか、少々判断に困ってしまうな。
性交体験者
エログロぐちゃぐちゃ。小林泰三はこうじゃなくっちゃな、的一編でそこは大変結構。行為自体を想像するとかなり気分悪くなってくるあたり、力量と思うべきなんだろうな(w。
銀の船
読者をミスリードへ誘い込む腕前に感心する一編で、短篇とはこうあるべし的作品。まんまとやられたわ。
三〇〇万
そういえば「300」つー映画がありましたな(w。タイトルから狙ってるんだろうな的匂いがプンプンするバカSF。なかなか笑える。
盗まれた昨日
お話の中の「世界」の構成の巧さで読ませる、記憶テーマのSFといえるかな。割と勢いで書いたんじゃないか的な(ちがってたら、すいません)お話が続く本書の中では、かなり考えてつくられたお話という印象。完成度では本作が一番ではないかという気がします。
時空争奪
トリをつとめるのは本書のための書き下ろし。多少壊れてても、そんなものが気にならないくらいの奇想を叩き付けてくれたら喜んじゃうのがSFファン(ですよね?)。小林泰三的「時間衝突」(の、とりあえずのレジュメ)とでも言ったら良いんだろうか。個人的に本書のイチオシはこれ。こういうバカ臭い(褒め言葉)方向に暴走するイマジネーションを読むことこそ、SFを読む楽しみに他ならないと思うよね。

てことで。やや軽い感じもあるんだけど楽しい一冊でございました。

★★★☆


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