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2010-03-10 [長年日記]

[Books] 時の娘 ロマンティック時間SF傑作選

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)(R・F・ヤング他/ジャック・フィニイ/中村 融) ジャック・フィニイ、ロバート・F・ヤング 他/中村融 編
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 東京創元社装幀室
創元SF文庫
ISBN978-4-488-71503-8 \920(税別)

時間を超えた愛、をテーマに編纂されたアンソロジー。アンソロジーの名手、中村融氏が挙げる三つのセールポイントは「収録作品全九篇中三篇が本邦初訳」「残る六篇のうち三篇は、三十年以上も前に雑誌に訳出されたきり埋もれていた作品」「残る三篇は、この手のアンソロジーには欠かせない定番だが、二十年以上も入手困難だった作品」、とのこと。

編者の中村氏の解説によると、この手のロマンティックな時間SFに対する読者の温度には国内外で結構の差があるそうで、どうも日本人は、この手の作品をより強く好む傾向があるのだそうだ。理由の一つとしては、人気の度合いを反映させる上でのファンの反応というものを考えた時に、日本ではよりライト(?)な層が、より積極的に反応を返すような状況があるのかも、と言った補足もあり、ちょっとなるほどと思ったりもした。SFとしての構造を優先する海外SFファンと、SFのFの部分のファンタジー性を高く採点する国内ファンの違い、みたいなものがあるのかな。自分はどっちかな、と思って考えてみたら、多分その中間あたりにいるSF読み。なので徹底的に甘い方にシフトしてくれたらむしろ心地よく、構成の論理的な部分とロマンス部分で良い按配にバランスをとってきたような作品だと、却って「?」と思いながら読んでいったような気がするな。

と言うことでいつもの通り、それぞれの作品の簡単な感想を。

チャリティーのことづて(ウィリアム・M・リー)

「トワイライト・ゾーン」で映像化もされた作品だそうだが、そちらは未見。250年の時を隔てて起きるボーイ・ミーツ・ガール。ジュヴナイルとして極めて良質。

むかしをいまに(デーモン・ナイト)

本書中で一、二を争う巧みな構成の作品で、何となく読みはじめて「んあ?」と思い、あわてて最初から読み返して「うわなるほど」とびっくりしちゃうようなお話。さすがはナイトなんですが、凝り倒したあまり、頭の悪いオレにはオチのインパクトの意味がちゃんと伝わらなかったような気もする。

台詞指導(ジャック・フィニィ)

このテーマでこの人が来なかったらウソだろう、ってな勢いで。名作「ふりだしに戻る」とも根っこのイメージが重なり合う香りの漂う、甘く切なくそしてまた甘い掌品。こういうのを書かせたら他の追随を許さないものがありますな、フィニィって。

かえりみれば(ウォルターH・シラス)

甘ーいフィニィ作品のあとの口直し、でもないだろうけどこちらは少々ビタースイート。「もう一度あの頃に戻れたら…」、あれもこれもやり直し、と単純に思っちゃうけどさてそう簡単に行くのかな? ってところで。言われてみればそうだよなあ。

時のいたみ(バート・K・ファイラー)

ワンアイデアのためにどういうオープニングを用意し、どういう風にヤマ場に持って行くか。短編小説とはどうあるべきか、のお手本みたいな作品。エリスンが褒めたってのも分るような気がする。特にラストの持って行き方あたりに(w。

時が新しかったころ(ロバート・F・ヤング)

おー、「たんぽぽ娘」だけじゃなかったのねー、って感じで。年代的に説明できない化石が発見された時、その時代まで遡り、何が起きたのかを解明する調査員、カーペンター。トリケラトプスを模して作られた航時機"サム"を駆って白亜紀にやって来た彼が見たものは、その時代に存在しているはずのない少年少女だった…。

なんていうか、マイクル・クライトンがタイムボカンをノヴェライズしたらこんな感じなるんじゃなかろうかってお話。ロマンス要素はやや控えめなれど、エンタティンメントとしてとても楽しい作品になっている。

時の娘(チャールズ・L・ハーネス)

タイトルロール作品は、極めてオーソドックスな「空想科学小説」のテイストにロマンス成分を振りかけたもの。これはこれで納得はできるが、並行宇宙やら量子論やらが幅を利かせている今、ある意味これは書けないタイプのスタイルのお話なんだろうな、とも思った。気がつけばSFにもずいぶんいろんな枷が増えたものであることだな。

出会いの時巡り来て(C・L・ムーア)

いかにもムーアらしい、論より雰囲気な作品と言えるかな。SFを読んだ、と言う気分にはならないんだが、不思議と気になるお話を読んだ、って気になる。

インキーに詫びる(R・M・グリーン・ジュニア)

「むかしをいまに」と双璧をなす、極めて構成に凝ってきた作品。構成の凝り具合は共通するけど、基本的にいろんなものを削ぎ落としてくるナイトに対して、こちらは描写の豊かさが巧みな構成に花を添えている感じ、だろうか。覆面作家と言うことだが、正体が実はオースターでしたとか言われてもそれなりに納得できるかもしれん。ありえんだろうけど。時の行き来、って部分は時間SFのキモになる部分だと思うけど、その行き来の按配を微妙に重複させることで、奥行きと不可思議さがずいぶん足されるのだな。そこでこちらの理解力が追いつかなくなる時も往々にしてあるのだけれど。

ってことで。「ロマンティック」って枷は結構大きかったみたいで、中村さんが編んだアンソロジーとしてはスパイシーが足りないかな、って気もしたのだけれど、何せテーマが「ロマンティック時間SF」だからねえ。こうならざるを得なかったって話なのかな。少しだけ、ピリッと来る要素が欲しかったような気はしないでもない。

★★★


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