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ポール・メルコ 著/金子浩 訳
カバーイラスト 富安健一郎
カバーデザイン STUDIO TOMIYASU
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011771-9 \1000(税別)
AI経由で接続され、人類全体による並列処理が可能となった時代。だが<共同体>と呼ばれることになった巨大知性は、ある日忽然と姿を消してしまった。あとに数十億の人間の死体を残して…。残された少数の人々は<共同体>はより高度の存在に昇華したと考え、一気に激減した知力と体力を補いつつ、荒廃した地球環境の復興に直面した統制府は、少ない人間たちを最大限活用するために、遺伝子操作によって新しい人類を造り出していた。"ポッド"と呼ばれる彼らは、人格としては一人なのだが、その実体は複数の個体に分かれ、それぞれが特定の分野に突出した才能を持ち、フェロモンを介してお互いの意識と情報を共有できる「群れ」であり「個人」でもある存在。個体名アポロ・パパドプロスと識別される、5人の少年少女からなる"ポッド"も外宇宙船の船長となるべく生み出され、その目標に向かって様々な訓練に従事していたのだが…。
5人が力を合わせると常人をはるかに超える能力を発揮できる、人格的には一人の存在、ってあたりはSFにおける重要ワードの一つ、ゲシュタルト生命体を連想させるわけだが、一つの種としての進化形への考察として持ち出されたこの概念に、実際の運用においての手順やら得失やらのディティールを描き込んできたあたりに今様な物が感じられる、というところか。
お話はこの、アポロ名義の5人ポッドがいつの間にやら事件に巻き込まれ、どうやら自分たちが何者かに狙われているらしい、ということが明らかになり、そこからの逃避行と真相究明、そして反撃へ、という流れになっている。その流れの中に様々なSF的ガジェットがぶち込まれていてそこはかなり楽しめる。特に中盤、お話が妙な方向で熊SFになっちゃうあたりはかなり楽しい。犬SFとか猫SFはそれなりにあったけど、熊SFってのはかなりレアではないかね(w。
そのあたりのアイデア攻勢はかなり良い具合でちょいちょい楽しめるんだけど、全体のお話の展開がどうにも上手くないあたりが大変残念で、本書をかなり読み進んでいった段階でも、何が問題でこのお話が進んでいるのかがよく見えてこない恨みがある。たとえばアポロたち5人ポッドというのは、実は学園都市に7人しかいないレベル5的存在で、それ自体が相当レアな物なんだけど、そのことがお話の途中まではっきりとされていなかったり、「敵」の存在と目的がいまいち明確になってこないままお話が進んだりと、いろいろなところが少々雑な上にお話のオチつけ担当が、かなりデウス・エクス・マキナなのも不満かな。アイデア部分の楽しさはあるが、正直読み進めていくのにちょくちょく挫けそうになってしまったご本であったことも確か。
でも熊SFの部分がかなりキュートだったので、そこでちょっとゲタ履かせてもいいかな、って思いました(w。
★★★☆
「アマガミSS」、「スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター」、「バクマン」、ニコ動で「セキレイ Pure Engagement」(終)。「アマガミ」は紗江ちゃん編完結。なんだな、最初の森島先輩編があまりにメーター振り切っちゃってただけで、それ以外は案外わきまえた作り…でもないか。
「スパロボ」は昨今珍しいロボットばりばりのアニメ。まだ一回目なので面白いんだかどうなんだか良くわからんが、少なくとも「第3次」(スーファミ版の)とかを愛する人間にとっては、こりゃどこがスパロボなんだい? って気はしないでもない。
「バクマン」はジャンプで人気連載中のコミックが原作、らしい(読んでないので良くわかりません)。とりあえずオープニングで録画ミスかと思ってしまったけれど、「シリーズ構成:吉田王令子」って、ってところで「ああ」と(w。んでこれ(ニセオープニング)は「ラッキーマン」なんすかね? そういえば大場つぐみ=ガモウヒロシ説ってありましたなあ。
お話は中学生のとーま君とサイト君がマンガ家になろうと決心する、ような。出だしはまあ、マンガやね。この先どういう方向に進んでいくのか、様子見ですかね。
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