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もう秋ですけどね。晩飯食ったあと、コーヒーすすりながら手頃なサイズの本を…ってことでこんなのを。エリック・フランク・ラッセル「金星の尖兵」。井上一夫 訳、創元SF文庫1973年8版→amazon(ユーズドのみ)。
お話は極めてシンプルな侵略SF。生まれついてのテレパスである主人公ハーバーは、ある日誰かの断末魔の思念を感じとる。思念の投射された地点に急行したハーバーは、そこで何者かの銃撃を受けたパトロール警官の最期を看取ることになる。それは人類がそれまでに経験した事のない侵略の第一歩だったのだ…、みたいな。
ラッセルの作品は「超生命ヴァイトン」以来か。比較的シンプルなアイデアを一本の芯にして、構成の妙とかではなくストーリーの展開スピードとテンションで引っ張っていくタイプのお話。SF的な面白さというよりは、警察小説的なサスペンスをメインに、SF的なアイデアをちりばめたような作品と言えるかな。なんというか「ヴァイトン」をより非SF者向けに噛み砕き直したような作品、と言えるのかも知れない。
なので「SFを読んでる」快感というのはどちらかというと稀薄な方で、全体としてはそうだな、凄く軽くなった「人形つかい」と言うようなお話と言えるかも。そういう意味では軽めのエンタティンメントとして、必要条件はきっちり抑えていると言えるわけで、これはこれで職人のちゃんとした仕事、が楽しめる一作と申せましょう。
なので結構いいたいことはあちこちで湧いてくるわけで、たとえば主人公ハーバーが「マイクロ模造(フォージャー)家」という、いかにもSF的な、普通に周りを見わたしても目に出来ないような仕事に就いているのなら、そこをお話の中で、もうちょっと有機的に機能させてくれても良かったんじゃないかな、とか思ったりもするわけなんだけれど、そこに力を入れてるよりも、読み味の快適さを重視したんだ、といわれたらそれもまあありかな、とも思えるところで。この辺は判断が難しいんだけど、エンタティンメントの要素を優先するなら、この欠点もまあ、許容範囲って事になるのかな。
その上でラストにちょっと辛味を効かせてくるあたり、職人の腕の冴えみたいな物もちゃんと味あわせてもらえるあたりがなかなか、やりおるな、って感じでございます。非常にタイトにまとまったお話で、映画の原作とかにもかなり向いてる感じがする。ハリウッドのビッグ・バジェットな映画には辛いかも知れんけど、ジョン・カーペンターあたりに撮らせたら、結構面白い物が出来上がったりするんじゃないかしら(w。
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