ばむばんか惰隠洞

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2004-03-18 [長年日記]

[Day] わっかんなーい、おしえなーい。

本日の朝日新聞夕刊の「素粒子」によると、報道の神髄であり骨法であるものとは、「知らん、知らせん」の精神であるんだそうだ。いやーオレ、15分ぐらい別の意味にとってしまって「そ、そうだったのかー」と感心してしまいましたよ(w 。

[Books] 三惑星連合レンズマン・シリーズ(6)

画像の説明 E・E・スミス 著/小隅黎 訳
カバーイラスト 生頼範義
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ
創元SF文庫
ISBN4-488-60321-1 \920(税別)

20億年の太古、二つの銀河系がたまたま極めて近いところまで接近するという現象が発生。この影響により、ほとんど惑星を持たなかった二つの銀河系には、大量の惑星が生まれ、その中にはやがて生命をはぐくむ可能性を持つ星々も多数存在していた。だがこの二つの銀河の大接近が発生する頃には、すでに二つ、極めて高度に発達した文明を擁する生命が宇宙には存在していた。機械文明を経て、今や完全に協力な精神力のみによる文明を作り上げたアリシア人と、精神力と機械文明を共に高度に発達させたエッドア人。全く別の次元の宇宙からやってきたと思われるエッドア人が宥和を知らず、ただ破壊し、征服する事のみをその生存の目的にしている事を明敏な精神力で察知したアリシア人たちは、われわれの銀河系と、後にランドマーク星雲の名で知られる第二銀河系を含むこの宇宙に真の平穏をもたらすには、この宇宙に住む者自身の手によってエッドアの魔手を排除する事が必要であるとの結論を得る。そのためには、気の遠くなるほどの時間をかけて産み出される事になる、二つの血統から生まれた子供たちの力が決め手になる。 こうしてエッドアとアリシアの密かな影響力の行使は、長い地球の歴史の、その始まりからそこに存在していたのだった。そして今、アリシアの力を借りて公然とエッドア=宇宙海賊ボスコーンに対抗する文明側の組織、銀河パトロール隊の原型となるべき組織が、破滅的な核戦争を生き延びた地球人類の手で作り上げられようとしていた…

「ファースト・レンズマン」の主人公、ヴァージル・サムズが創設した初の宇宙平和維持組織、「三惑星連合」の初期の活躍を描く一種のシリーズ番外編。とはいえこの作品の主人公はヴァージルではなく、彼の部下、というか有能な戦友であるコンウェイ・コスティガンというエージェントの冒険譚。ついでに全編の3割ぐらいが三惑星連合の話ではなく、それ以前の人類の歴史におけるエッドアの介入と、アリシアが注意深く育てていこうとしているキニスンとクリスの家系との関わりを描いていて、んで、実はこの部分は後に加筆された部分で、正直成功しているとは思えない追加ではあるのだけど、それはそれとしてこの構成はちょっと興味深いとは思う。大河SFのブリッジとしての意味合いからも、またこの作品が書かれた時代背景なんかを考慮する意味でも。

なにせ「三惑星連合」は昭和で言えば9年の作品、後に追加された承前部分も第二次大戦の終戦からまだ5年と経っていない頃のそれなわけで、いろんな意味で、強さは申し分ないんだけどたとえば礼儀作法だったり伝統的な物に対しての接し方だったりにイマイチ自信が持てていないアメリカの雰囲気が良く出ているなあという感じ。あれですよ、日露戦争の時の日本軍なり日本人が示した過剰なくらいのフェアプレー精神みたいな物が、この作品には詰まっておるよなあと言う感じですわ。ま、同時に戦争が身近なものである時代背景は、正義の味方の主人公に地雷の大量生産やら毒ガス使った大量殺戮も、それが正義であるなら使用も辞さない、って態度を正当化しているあたりで結構今とは違うよなあ、と言う思いを新たにさせてくれるところでもあるのだけど。

お話はそういうわけで、こう、ありていに言ってロナルド・レーガン主演のB級西部劇の雰囲気がぷんぷんしちゃっててまいったなあ、って感じなんですが、そういう時代だったんだ、ってあたりを考慮に入れると、それなりにまあ、楽しめなくもないかな、と言う感じですな。

で、本書の読みどころは実は、本体じゃなくて「訳者あとがき」と「解説」。特に藤倉珊氏による「サラリーマン小説としての≪レンズマン≫シリーズ」は抱腹絶倒に見えて実は意外に鋭い切り口の解説になっていると思うので是非。私、この一節で思わず膝を叩きました。

私はそもそもボスコーンというのは、ボスを頂点とした円錐(コーン)組織の事なのではないかと真面目に思っているぐらいだ。これを冗談ととるかどうかは読者次第であるが。

いや、冗談と思えない説得力があるですよ。

(★★★)


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