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昨日からずっとお腹の調子が悪い。んでも昨日あんなの読んじゃったもんだから、正露丸飲むのもちとためらわれる。うーん、微妙にお腹ぐるぐるな感じ。同じもの喰ってるのになんでご家族様には症状が出ないのであろうか。なんか盛った?>妻
オレを殺しても金にならんぞー。
ロバート・J・ソウヤー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト L.O.S.164+WONDER WORKZ。
カバーデザイン 岩郷重力+T.K
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011520-6 \920(税別)
それまでただひとつだった宇宙、ただひとつだった地球は、4万年前のある異変が元でそれ以降、いくつもの並行宇宙となってそれぞれが独自の進化を遂げていた。そんなひとつの"地球"、ホモ・サピエンスが滅び、ネアンデルタール人が生き延びた地球での量子コンピュータによる実験が、彼らの地球と我々の地球を結びつける。その時の事故がもとでこちらの地球に飛ばされたネアンデルタール人、ポンターは、ホモ・サピエンスの地球と自分たちの地球の文化、文明レベルの進歩の仕方の差に恐れ、驚き、感銘を受け、やがて自分たちの世界への帰還に成功した。その時から、二つの地球では、もうひとつの地球に対し、どのようなアプローチが取られるべきか、についての模索が始まるのだった。交流か、拒絶か、それとも略取か……
んーむ、「帝国の逆襲」がパッとしないからといって「ホイルス星系誌・第2部」がまるごと面白くないってワケではないよなあ、という話かなあ。幾つか「ほほう」とか「なるほどね」とこちらをニヤリとさせてくれるフィーチャーはあるにはあるが、どうだろ、全体としては少々無邪気に過ぎる小説になってしまっているような感じがする。
このお話の隠れたテーマ(あ、別に隠れちゃいないか)は、「今のアメリカ○○」(○○、にはまあSF、なりイズム、なり社会、なり、その辺のワードを適宜入れてもらったら)に対するやんわりした異議申し立てだ。それ自体は前作でもある程度は語られていたけれど、前作がひとりアメリカ、というのでなく、ホモ・サピエンスの(さらに言うならキリスト教的宗教観の)思考パターンに支配された世界に対する、やっぱりやんわりとした異議申し立てであったと記憶するのだけれど、本作ではその、やんわりとした、奥ゆかしい部分がある程度取り去られてしまった分、読んでるこっちは少々鼻白んでしまうような展開に直面してしまったな、と。
アメリカンウェイへの異議申し立ては結構なんだけど、アメリカの世紀の前の世紀に君臨してたのは英帝国な訳で、米帝(わあ、懐かしい単語だこと)への批判をするあなたの国の宗主国が、その一つ前の世紀に世界規模で何をやらかしたかについては言及なしなのかよ、おめでてーな、とオジサンなんかは思っちゃう訳なんですが。アメリカンウェイの伸張の上で亡くなった人々のお気持ちに何らかの棹を挿す気持ちはないけれど、あなたがこの本で主張していることの幾つかは、あまりに物事をシンプルに割り切ってしまっているのではないかなあと言う気はする。ベトナムにおける戦死者の名を悼む壁でのポンターとメアリのやりとりは、ある意味本書の白眉だと思うのだけれど、残念ながら最終的に落ち着くところは"お約束"の範囲内でしかないような気がするのだよな。ソウヤーはいつも、かなり深いところまで行っときながら肝心の部分には斬り込んでいない、という印象を持つのだけれど本書もそんな感じ。違うだろそれは、という気は、ちょっぴりだけどしてしまう。
ソウヤーSF、大好きなんだけどこれはどうかな、ちょっとナイーブな部分の扱いを失敗してしまったような気がする。お話の中で自分の旧作に言及してみたり、細かいところでくすくす出来るのですけど。
(★★★)
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