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アン・ハリス 著/河野佐知 訳
カバーイラスト D.K(エルスウェア)
カバーデザイン WONDER WORKZ.
創元SF文庫
ISBN4-488-72001-3 \920(税別)
荒廃したデトロイト。今ここに暮らすのは、日々の糧に汲々とし、明日を知れぬ日々を送る者ばかり。あまりにささいな理由から家族の一人を喪ったとき、マグノリアはこんな暮らしに見切りをつけた。だが、生まれた街を飛び出したから、それで事態が良くなるはずもなく。マグノリアがニューヨークで出会った男は、ポルノフィルムの製作で日銭を稼ぐ街のちんぴら。だが、そのちんぴらを叩きのめすマグノリアの姿を偶然目にした男の一人が人口生命体研究の第一人者であったことから、彼女の運命は大きく動いていくことになるのだった…。
著者のアン・ハリスは解説によると、一貫してカオス理論とバイオテクノロジーをテーマにした作品を発表している作家なのだそうだ。本書でもその二つのテーマは重要な意味をもつ。特に本書ではカオス、というかフラクタルの方はかなりお話に深く関わってくる。ついでに女性作家、ということで特にそちら方面への意識が強く向くのか、ジェンダー関連に対してもそれなりの関心が向けられているようだ。
フラクタル、って言葉が初めて話題になったのっていつごろだったろう。マンデルブロー集合を描画するソフト、なんてのが話題になったのって、日本じゃあまだパソコンといえば即窮鉢を指していた時代だと思うんだけど、どうでしたか。フラクタル、が先でその後カオス理論の話が取りざたされた、ような記憶があるんだけどどうだったかなあ。
などと無駄話っぽく話を進めているのには訳があって、それは、この本、5年ばかり出るのが遅かったな、というところにあるのだな。原書の刊行は1996年。それから2,3年のタイムラグで翻訳されていたら、もっとこちらは盛り上がれたのじゃないかという気がしてしまう。カオスなりフラクタルなりに対しての解説部分が、今となっては少々余計なこと的ニュアンスを持ってしまっているのだね。良くわからんけどその話はもう聞いたよ、と。そこでちょいと、いやかなり"ワンダー"要素が削がれてしまった恨みがあってかなり惜しい。奇しくも「パラサイト・イブ」が同じ年に出ているのだけど、それと前後する形でこの本が登場していたら、評価はずいぶん変わったのではないかな。ちょっと寝かしすぎ、だったかも知れない。
ストーリーの方はSF的アイデア部分に比べると、ある意味ずいぶんと先取りがうまく行ってる感じで、パワフルな女性キャラとどうにもさえない男性キャラ、ってキャスティングは悪くないし、短い章立てでお話をたたみかけてくる手法も、(まあデビュー作なんだし)洗練されてるとは言えないけどそんなに悪いと言うほどの物でもない。重要なポジションにあるキャラクターが多すぎてストーリーが終盤に向けてうまく収束してない恨みはあるけど、それでもそこそこ楽しめる筋立てではあると思うだけに、SF的なアイデア部分で、ホントに知ってるかどうかは別にして、「あ、その話は知ってる」と読者に思わせてしまっては損だよなあ、というところ。とっちらかった所はあるけど、総じて悪くない印象だっただけにそのあたりは惜しかったな。最新(かつ比較的地に足をつけた)のサイエンス事情を取り込むタイプのSFが抱える弱点と言えるのかも知れないけど。
というわけでお話自体はそこそこ楽しみつつ、2005年に読むSFとしてはどうよ、という所に引っかかりを残すような一冊ではありました。惜しいね。
あと、このカバーイラストは絶対違うと思う。
(★★★☆)
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ROVER様はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いております。<br>フラクタルと言えば「.fif」ファイル形式が印象深いんですが、<br>あれは当時jpegよりも高画質と持て囃された記憶があるんですが、<br>なぜか殆ど普及しませんでしたね。デイジーアートくらいしか<br>開けるソフトもないような…何故?<br>拡大には向いてるけど縮小にはそんなでもない、とか問題あったのかな?
懐かしいですね、デイジーアート。私もしばらく使ってました。画像フォーマットはカタログデータ的な得失とは別の所で淘汰されてしまう傾向もあると思う(X68K使いだったこともあるので、なんでPICが一般的にならなかったのかなあ、と今でも残念に思うことはありますもの)ので、単純には答えは出ないのかも知れないですね。<br>デコードする側の間口の広さ、あたりが大事なのでしょうか…
http://blog.livedoor.jp/ichimi_10/archives/27014168.html<br>日々是げんじつ<br>読了ログ:「フラクタルの女神」 −バイオレンス・ファンタスティック・アクション<br> 「フラクタルの女神」 著:アン・ハリス/ 訳:河野 佐知<br>出た!カオス理論! <br>(残念ながら私はロードショー観そこなったが、)『バタフライ・エフェクト』でも、だいぶ流行ってたな。
はじめまして!<br>自分ちの記事を書くために放浪してたら、こちらの記事にめぐり合うことができました。<br>私も労馬さまのように知的な文章を書きたいと常々願っているものですが、結局、直感コトバを支離滅裂にわめき散らしてしまう、、、。<br>お手本にさせていただくためにも、また、うかがわせていただきますね!
ご丁寧にどうもです。知的と言うよりは恥的、もしくは痴的な所ですが、気が向いたらまた覗いてやってくださいませ。
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