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谷甲州 著
カバーイラスト・デザイン 森山由海
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030847-0 \760(税別)
80年代後半に"SFアドベンチャー"誌に掲載されたものの内、宇宙SF以外の短篇を集めた谷甲州の初期短篇集。表題作他全14編を収録。
ご本人は"あとがき"で"下手糞"だなんだと書かれているが、で、確かに技巧って部分ではそうも言えるのかも知れないが、その分シンプルでピュアなSFを楽しませてくれる短篇集になっているのではないかな。最初タイトルをみたときに"エ"で始まる女性の名前なものだから、つい「エリコ」みたいなんだったらオジサン嬉しくなっちゃ…もとい、困っちゃうよなあなどと思いながら読み始めたのが、幸い(残念)なことにそれは杞憂であった。まあ"エ"で始まる女性の名前の短篇は、やっぱりちょっとえちぃお話ではありましたがそれはそれ。
ということで、巻末の著者の解説を読むのが一番良いと思うけれど、自分なりの感想も。
戦死した戦友の妻の元を訪れる兵士。彼が語る戦友の死の真相とは…。見方を変えることでひとつの出来事の見え方が何度も変わってくる、というお話。なぜ見方を変えなければいけないのか、って部分に仕掛けがある。
死を覚悟した兵士の前に現れる"もの"、それは兵士の救いとなるのか、それとも…。誰かの命を絶つ存在、と言うモノが存在するのか、存在するとしたらそれは何のために、どのようにして生まれたものなのか、がテーマと言えそうだけど、ううん、ちょっと語り切れてない印象はあるな。
かつて人類が植民した惑星での泥沼の戦争。圧倒的に有利と見えた侵攻軍だが、巧妙な敵のゲリラ戦に損害は増えるばかり。その信じがたい強さの秘密は何なのか…。切り口はワタシ好み。戦争を背景にした最初の三編は、敵と味方ってなんなんだ、みたいなものがお話の根っこに潜んでいるような気がする。
続く二編はクライム・ノベル風味。こちらのテーマは超能力。クライマックスが起きる理由が不明瞭な感じかな。
警察小説にサイバーパンク風味を加味した近未来SF、といえるか。超リアルなシミュレータが引き起こす想定外のアクシデント。起承転結の"転"、にこちらの予想をちょいとひっくり返す仕掛けが用意されてるあたりは上手い。
「過去を殺した男」同様、一種の電脳世界でのシミュレータがお話のキモをなす。が、こちらは前の作品の鬱展開から一転、大変にハートウォーミングな佳品になっている。とても好きな一作。
なんたってのちに「エリコ」を書く人ですから(w。近未来のセックスライフがテーマながら、「エリコ」とちがってこちらはなかなか上品に落ちております。
「異形コレクション」向きなお話だなあ、と何となく思った。ジャンル的には時間SF。これもハートウォームで、ちょっと良い。
最後の最後に明かされるのが、"無垢の怖さ"ってことであろうというのは理解できるのだけど、読んでてそれが直接的に実感できない恨みがあるかなあ。
ちょいとしょっぱい後味の時間SFが二編。ちょうど「L」と対をなすような感じか。「一〇年の負債」は良い感じにまとまってると思う。
一種の不条理SFってことになるんだろうか。ブラックユーモアに満ちておるんだけれども作品中、"神の存在を否定する"女の力説ぶりは、実は結構そうだそうだと頷けるものがあったりする。で、宗教を躍起になって否定する、というのも実は…、ってあたりが本作のキモ。わりと好き。
人の心を読むことができる探偵さんが主人公のサイコサスペンス二編。これ、展開するのが難しそうだけど、上手くやったら結構いい感じのSFハードボイルド・シリーズになったんじゃないだろうか。作者にはその気はなさそうですけど。
ま、あくまで初期作品なのだし、それなりに"縛り"みたいなものを自らに課して書かれた作品集なので、飛び抜けてすごい、ってなものではないのだけれど、中間小説寄りのSF作品集としてそこそこ楽しめる作品が揃ったと言えるのじゃないだろうか。普段あんまりSFを読まない人に勧めると良いかもしれない。最初の三つは後回しにした方が良いかも、ってアドバイスはした方が良さそうだけど。
(★★★)
以前から比較的堅気方面の(大阪だと本町とか、扇町とかにオフィスのある)お仕事相手に電話して、「○○(私の本名)ですが」とやるとまず99%、「どちらの○○さんでしょう?」と返ってくるのにムカついてたんで、なんだか良くわからんけど個人事務所みたいなものをでっち上げることにした。古本屋もあるのでそっちにも関連づけるような名前、ってことで最初は「パミス・ファーム」(pumice=軽石)なんてのも考えたんだけど、なんか「アニス・ファーム」みたいでねえ。
とりあえずドメインも取れて、かつ無難っぽい名前をさがしてゲットだぜ。仕事の看板としても使うんだけど、オマケで使える様になるwebスペースでいろいろ実験できそうかな。一応XOOPSとか、一通りいじれるようになっておきたいもんね。
せっかくだから名刺も作ろうかのう。いったいオレの本職は何なのか、自分でもさっぱり分からんのだが。webデザイナー兼よろずライター兼web古書店主、になるのであろうか。何者だオレ(w。
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[アニス・ファーム]めちゃめちゃ吹きました。むしろそれで。
いっ、いやーん。
個人的な好みで言えば和を主体に。そんでもって何の仕事をしているのか全く読みとれないくらいの怪しさを鏤めて…
「和」ですか。ううむ、「電脳代書屋」、とかかなあ…。