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野田昌宏 著
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-030932-9 \840(税別)
「スペース・オペラの書き方」の姉妹編。「愛しのワンダーランド」改題。
中でも、ひどく気になっている事がひとつある。
それは、こうして私が曲がりなりにもスペース・オペラを書くようになり、こうしていま私が貴方に向かって大きな口を利いているについて、私が読んだおびただしい数のSFの巨匠たちの作品から何をどんな具合に学んだか、何をどんな風に栄養にしたか、そのあたりをもっと詳しく書くべきだったという思いなのである。
というわけで。
んまあ、「スペース・オペラの書き方」を読んだ人の内、実際にあの本を技術指南書としてスペース・オペラを書こうと思い立った人がどれぐらいいたかを調べてみたら、それは限りなくゼロに近かったんじゃないかと思う。それではと、追加のテクストとして本書を読み終えて、今度こそスペース・オペラを書くぞ、と思った人がどれくらいいたかと言えば、やっぱり皆無に近い数だったんじゃないだろうか。だってこの本を読んだ人は、スペース・オペラを書いてるヒマがあったら、その間に一冊でも多く、スペース・オペラを読みたくなっちゃうに違いないんだもの。
石森章太郎の「マンガ家入門」(古い例でごめんよ、オレらの年代にはわりとバイブルっぽい本なのよ)を読んだ青二才の何割かは、確実にこの本をテクストに漫画を書いてみようと思い立った事だろうと思えるんだが、野田さんのこれらの本でそれと同じ気持ちになった人の数はかなり少ないに違いないと確信できてしまうのだな。明確に"なりたい"と思っている人と、"なるにはどうしたらいいのかなあ"ってレベルでいる人のために書かれた本、というニュアンスの差はもちろんあるわけだけど、そういう具体的な需要と供給の関係性を別にしても、「知ってることを教えたい」ってのと「面白さを伝えたい」の差はやっぱり如実に表われるものだなあと思ってしまった。好きな物を語り出したら止まらない上に、その語り口をSF界の大先輩によって存分に鍛えられた著者が伝える面白さなんである。書くより先に、個々で紹介されてる本で未読の物はとりあえず読んでおかなくちゃ、って気になることうけあいだ。
というわけで「役に立たない」ってのは自分なりの最大の褒め言葉。個々で紹介されてる野田大元帥が夢中になった本、一冊でも多く読んで同じ気分になっちゃいたいと思ってしまうのは、ひとえに野田さんの語り口のせいなんですよ、反省して新しい入門書に挑戦してください…とはもう言えないのだな。そこが何とも言えず、淋しいぜ。
こちらが「スペース・オペラの書き方」。スペース・オペラの楽しさを満喫した以外で自分の血肉になったのは、ハーマン・ミラーの椅子は金を出すだけの値打ちがあるもんだ、ってあたりだけだったのは自分の事ながら情けない。
★★★
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