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背取り目的で街に出たのは結構久しぶりかも。長田、三宮、元町近辺の古本屋さん行脚。ブックオフって意外に店ごとの個性みたいな物があるんだな、つーのを感じました。それはロケーションの問題なのか、店のフロアの規模から来る物なのか、それとも各々の店長さんの趣味による物なのかはわからんけれど、置いてる本とその価格の付け方に、意外に差ができるもんだなあ、と。
目玉になるような掘り出し物はなかったけど、今週はもう一回ぐらい背取り旅に出たいな、と思える「感じ」があったのは微妙な収穫だったかな、つー感じです。その値段で店に出すの? んじゃ俺に売ってよ、って本を(ごくごく)ちょっとだけ見かけたのでね。
午前中出撃、昼はコフタのドライカレー、その後Voiceでコーヒー飲みながら軽く読書、立ち呑みはぬる燗でぐにょー、と一人飲み食いの方も楽しゅうございましたです。
カート・ヴォネガット 著/浅倉久志 訳
カバー 和田誠
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011682-8 \800(税別)
著者にとって第三作目にあたるエッセイ集。ブッシュ父がホワイトハウスの主であった時代を背景に、家族、友人、交友関係、そしてアメリカと世界のありようについて時に辛辣に、時にユーモアを交えて語っていく。
タイトルがちょっと怖い感じで、そのせいか和田誠さんが描くヴォネガットさんもどこか少し厳しい表情をしているような気もしないでもないが、そこはヴォネガット、基本的に文章はあくまで軽妙。ただ、本書の基調をなしているのは自らの戦争体験を背景にした、80年代のブッシュ政権におけるアメリカの、様々な施策に対しての明確なノーである以上、ユーモアの衣を纏ってはいてもその筆鋒は時に厳しく、鋭く、そしていくばくかの危機感をたたえた物になっている。その危機感から拡げられた話のとっかかりのマクラになるお題の一つが、タイトルにもなっている「死よりも悪い運命」ってのはいったいどういうモンなのだろうね、って話。
共に新米兵士として知り合い、ドレスデンでの惨劇を目の当たりにし、その後も長く親友同士の関係であったバーナード・V・オヘア氏が1990年に亡くなったことも理由の一つなのかも知れないが、本書を著したころのヴォネガットは、書くものにユーモアを乗せつつも、どこかで人類のこの先について、必要以上に悲観的になっていた時期だったのかも知れない。その文章の巧さが、メッセージの重さをかなり薄めているとは言えるけれど、やはりこの時期のヴォネガットはアメリカ、ひいては西洋文明の行く末に対して相当絶望的な気分に陥っていたのかも知れないな、と言う感じはある。
ただ、エッセイはやはり「同時代性」のような物が側面からサポートしてくれないと、著者が込めたかったメッセージのニュアンスの強さみたいな物に、やはり差が出るんだな、という部分での残念さは残るかも知れない。何せ今やアメリカは、雑で野蛮だった父親に替り、雑で野蛮な上にバカなその息子がそのトップに立っている状態なわけでね。にもかかわらず、そんな雑で野蛮でバカな人物のもろもろの行動よって、この先どうなるかはわからないけれども少なくとも今現在は、「戦争」とは少し別なところでの危機の方がより大きな問題になってしまって、ヴォネガットが本書で警鐘を鳴らしたところに対する危機感は一旦棚上げになってる状態であるあたりも残念さに輪をかけている一因になっているのかも知れないな、とは思った。
世の中には出た時に読まないといけない本がある、ということなんだろうな、と思う。本書はどちらかというとそちらに属する本なのでしょうね。
★★★
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