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小林めぐみ 著
カバーイラスト 帝国少年
カバーデザイン 電光肋骨団
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-030940-4 \860(税別)
環境が劣悪化した地球を脱出し、人類が生息可能な惑星を求めて旅立った多くの避難船のうちの一隻、ダナルー。不幸なことにこの船は、目的の惑星を見つけてそこに降りたったのではなく、航行システムの不調から、必ずしも人類の生息に最適とは言えない惑星に不時着することになった。惑星上にありながら惑星表面に出ることもままならない、閉鎖された都市となったダナルーでは、遺伝子管理プログラムの不調からか、いつしか男女の出生率が9:1という異常な状況が出来上がっていた。増え続ける男子の人口を調整するため、16歳になった少年の9割は、現状がいかなる物なのかも判然としない地球に向けて送り返されることになる。アツとその仲間達にとっても、いよいよ地球へと"回帰"するのか、それとも伴侶を見つけてダナルーに残るのか、運命がはっきりする時が近づいてきた…。
そんなアツが一目惚れした少女ヒマリとひょんな事から友達づきあいの始まった、ちょっと変わった少年ライカ。偶然つるむことになった3人の冒険が、やがてダナルーの小さな社会にちょっとした波風を立てて…と言うお話。中途半端にテラフォーミングされた火星あたりに不時着して、半分くらいぶっ壊れちゃったマクロス内での少年少女の冒険、と考えればよろしかろう。同じく女性作家の手になる「ようこそ女たちの王国へ」では男たちの数が少ないものだから女たちが力を持ち、本書では女が希少価値なのでやっぱり女の方が少々優遇され、と、なんだ、未来はどう転んでも女のモノなのか、とちょっと淋しい気分になってしまったりもしたわけですがそれはさておき。
お話的にはジュヴナイルとしてのおいしい要素を用意しつつ、昭和のSF的な匂いを(特に後半から終盤に向けて)漂わせて進んでいくわけなんだが、微妙に構成が上手くないような気がして、オレがジュヴナイルに求めるきゅんきゅん感、トラディショナルなSFに求めるミステリとしての伏線とその回収で発生するショック、共に残念ながら手薄だったような恨みはある。いろいろ盛りだくさんなのだけれど、お話の盛り上げ方がちょっといびつで、ジュヴナイル的ボーイ・ミーツ・ガールのきゅんきゅんも、オーソドックスなSFの「おおっとそう来たか」的なショックの部分も、やや構成が拙い部分があり、あわてて入れました的ニュアンスが少なからず感じられる。総じて面白いと思うんだけど、いろんなところでもう一歩、踏み込んで入れ込んで読み込めなかったかな、ってあたりがちょっと残念だったかも。
個人的にはもう一点、文体でどうしても馴染めなかったところがあってそこもちょっと。セリフの最後を「っ」(小さい「つ」ね)で止めるのを多用されるとすごく引くのだわ、オレ。わたくし小池一夫的な全てのモノが大嫌いなんでね、さすがにカタカナの「ッ」じゃなかったから最後まで付き合えたけど、それでもやっぱり「っ」の連発には少々イラっときましたんですわ。
★★★
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