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「けんぷファー」(早送り)、「聖剣の刀鍛冶」(終)、「DARKER THAN BLACK 流星の双子」(終)、「にゃんこい!」(終)、「おおきく振りかぶって」(再)。いろいろ最終回ラッシュなんだが、やはり1クールものは盛り上げ方が難しいというかなんというか、ぱっとしないか無理やり盛り上げて終わった感しか残らないな。で、どれも2期は難しいんじゃないのかね。
「DARKER…」はこれ、紫苑くんが作ったコピー地球がワケありな人たちのためのモラトリアムとなり、さらにご丁寧にムーンベース・アルファよろしく、厄介な人間だらけのオリジナルの地球からぼよーんと遠ざかっていきました、良かった良かった、ってお話で良かったんでしょうか? 総じて良くわからん話ではあったな。
大森望 責任編集
カバー装画 西島大介
カバーデザイン 佐々木暁
河出文庫
ISBN978-4-309-40994-8 \950(税別)
新たに立ち上げられた日本SFのアンソロジー。書き下ろしのSF作品を年間二冊のペースで刊行、を目指してスタートした新シリーズ。
書き下ろしホラー・アンソロジー「異形コレクション」は快調だが、こちらは各巻ごとにテーマが決まっている上に、あくまでSFも「その中にいる」ジャンルとして扱われている関係上、SFを読みたいと思う向きにとってはしばしば「これはちょっと…」的なニュアンスの作品も混じってて、テーマによってはやや辛い時もあったりしたわけだが、本書は責任編集の大森氏曰く、ど真ん中のSF
を揃えたアンソロジーとして編まれたものと言うことで、周辺に貪欲に触角を伸ばし続けるのがSFの本領であると言う部分は理解できる反面、もう少しトラッドな方向性のSF(ってなんだよ、と言われるとそれはそれで返事に困るけど)もまとめて読みたいな、と思ってた向きにとっては嬉しい企画。本書では残念ながら急逝した伊藤計劃さんの絶筆を含めた11編が収録されている。それでは簡単な感想を。
「いかにも」と言っては失礼だが、やはり「いかにも」北野勇作さん、と言える掌編。日常と非日常の境界の曖昧さが生み出すおかしさとちょっとした怖さ。こう言うのを書かせたらさすがに上手い人だと思う。
オーソドックスな定義を一捻りしたところにワンダーを持ち込む名人の手練の一作。後の作品でも話題にするけど、近年の日本SFが創作しようとしているテーマに通底するものに、「記述」と言う部分があるのかな、と言う気がちょっとしてくる。良い感じのサブタイトルを思いついたけど、ネタバレになるので自重します。
クラシックなスタイルのハートウォーミングな宇宙SF。完成度の高い珠玉の一編と言えるがただ一点、わたしゃSF作品に現在ただいまの我々が普通に目にしているモノや場所が素のままで出てくると、ついちょっと舌打ちしてしまう傾向があるんだが、そういう人間にとっては、ミスドがお話の中で軽くないポジションにいることに、少々釈然としないものを感じなくもない。そこだけちょっと残念。
こちらも極めてオーソドックスな攻め方のミステリSFで、完成度は相当高い。最後の最後のどんでん返しに少々理屈の上で弱いんじゃないか、と思える部分も無くはないが。あと、最近の山本弘氏の作品にはSF作家である山本弘の記述と、と学会会長の山本弘の記述がごっちゃになってしまう傾向があり、そこに少々眉をひそめてしまう時があるんだが、本作にもその傾向が若干見られなくもない。個人的にそこはちょっと惜しいと思う。
作者がこの人でタイトルがこれなら、何が来るかはだいたい分ろうってモノで。で、おおむねその通りです(w。日本最後の首相の名前で笑かしてもろた。
もうひとりの「SF界における厄介な田中さん」の作品。不条理がたっぷりまぶされて、かつシモ方向に暴走しちゃった作品。最近この手の作品で翻弄されてしまう主人公に必要以上に感情移入してしまう自分としては、どうにも釈然としない読後感が残ってしまったな。
本書の中では一番ライトノベルよりなテイストを持った作品だと思う。って私、しっかりとライトノベルを語れるほどにはそちらの作品を読み込んではいないんですが。ライトな日常の不条理系不思議・ストーリー、って感じかな。
最近の牧野修的、勝手知ったるかつてのメディア体験にどろどろ・ぐちゃぐちゃを混ぜ込んだ作品。なのだがそこに小林泰三さんの作品でもちょっと触れた、「記述」テーマが上手い具合に折込まれている。印刷媒体を前提にした構成もいい具合。歳のせいかスプラッタにちょっと弱くなってて、部分的に読むのが少々辛いところがあったのも確かですが。
おそらく本書の白眉はこれ。ここまでいくつかのSFアンソロジーで円城塔さんの作品に触れてはとっかかりを掴めず振り落とされてきた私が初めて、円城塔って面白いんだ、と思わせられた作品だ。
本書で他の作家もさまざまな形で斬り込んでいた「記述」が世界を規定するようなSF作品というスタイルに、一番鋭く斬り込んできた作品がこれだと思う。公理がツリー構造を持っている、ツリーがあればそれを解体するのはビーバーたち、と言う関連づけのアクロバットがもたらすワンダーがすばらしい。ある意味スペース・オペラと言えなくもないんだが、その伝で行くならこんなスペース・オペラ、初めて読むものだった。
こちらも「記述」が重要な意味を持ち、さらに映像表現の分野にもひと味こだわりを加味した作品。「エンゼルフレンチ」でちょいとクレームをつけた、今あるモノを今のまま出してこない、というお話の構成にも大変好感を持つ。円城塔の作品にも言えるのだけれど、本書のラストに用意された作品は、ふた昔ばかり前なら「ワイドスクリーン・バロック」と呼ばれたものであって、そういうのを今読むことの楽しさを感じられるってのは、年喰ったSFファンだけの特権なのかもな、なんてちょっと思ったことでしたよ。
未完の絶筆。この状態で何かを論評すること自体が不謹慎だと思うので、これは一種の特別付録と言うことで。
ってことで。全体としての印象は期待したほどのとんがり具合はなかった、かな。同じ大森さんが編纂に当る「年刊日本SF傑作選」が、出たものから作品をチョイスするのに対して、こちらは何もないところから作品を作ってもらうという編集スタイルになる関係上、どうしても出来の点で若干落ちるものが入ってしまうのもしかたがないと言うところか。
そんな中、収録された作品群を読んでみて感じるのが、「記述された」世界に対する興味が横溢しているのが今の日本SF界、と言うことだろうか。その内容的な濃さとは別なところで、ムーブメントの動きとしては海外SFで言うところの「ニュー・ウェーヴSF」のころの流れが今、日本SFにやってきているのかな、なんて思わなくもない。「スター・ウォーズ」でいきなり、かつ無理やり底上げされてしまった日本SFが、ここに来てようやく正気に返ったのかもしれない、なんて思ったわけだね。
このアンソロジーがどういう方向に進むのか、今のところはまだ分らないけど、ちょっと途中でおかしな加速装置が作動してしまった日本SFの世界に、なにがしかの影響を与える作品集としてこのアンソロジーが続いてくれたら、かなり重要なシリーズとしての地位を獲得できるんじゃないかと思う、ので続きを楽しみにしたいです、いやマジで。
★★★☆
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