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デイヴィッド・ウェーバー 著/矢口悟 訳
カバーイラスト ウスダ ヒロ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011737-5 \880(税別)
枢機卿会の支配に慎重に反旗を翻すため、かつての地球文明の遺産を慎重に組み込みつつ新機軸を取り入れていくチャリス王国。そんなチャリスの動きへの警戒を強める枢機卿会は、次々と策謀をめぐらしてくる。かつての地球艦隊の戦術士官、ニミュエの人格と経験を転写され、今はマーリンの名でこの世界に存在するAIは、やがて来るであろうヶババとの再戦のため、セーフホールドに残された人類文明の発達をもくろむのだったが……
もはや異星人との戦いはそっちのけで、一旦中世レベルまで落ちてしまった人類文明を促成栽培的に底上げしようとする、かつての宇宙航行種族レベルだった人類文明の生き残りが奮闘するお話。異星文明ヶババが、一定レベルまで発達した文明を根絶やしにするシステムを持った文明であることを逆手に取り、文明レベルを中世のそれから上の段階に行かないように、慎重にコントロールされた世界にあって、そのままでは生き延びることはできても勝つことはできないと考える主人公が、人類の真のリベンジを目指して、かなり低いところから文明レベルの底上げをしていこうとする、そこの所の苦労話を楽しむシリーズってことになると思うわけで、そこの所はかなり良い具合。アラビア数字すら文明的すぎると言う理由で封印されてしまった世界にただ一人(一体?)、宇宙航行が可能だった頃の人類文明を記憶している存在が、自分の持っている記憶と知識をいかに無理なく伝えていくか、ってあたりに面白さが湧いてくると言うシカケ。
そこの所はそれなりに面白いんだが、本シリーズの出だしではそれなりにスケールの大きなスペース・オペラのニュアンスがあったものだが、そういう部分はどこかに遠ざけられ、一種のタイム・スリップSF的な側面ばかりが強調されてしまったあたりは読み手によってはかなり残念か。少なくともオレはちょっと残念だったかも。特に一応三部作を謳った二作目で、完全に「アーサー王宮廷のヤンキー」的ノリばかりが前にきてしまうのもどうなんだと。最終的にはもう一度、派手なスペースオペラ的クライマックスに戻って欲しいんだけど、このままでは到底そこまでは行きそうにない感じがあるものだから。
お話自体の面白さにはそれほど文句はない。こことは全然違う世界の様子もそれなりにしっかり書き込まれていると思う。ただ、そっちに全力で突っ走られてもあんまり嬉しくないんだよなあ、と思ってしまうのも確かなところで。三作目はどう見ても、こっちが期待しているラストまで行かないか、体裁はそうでも流れがあまりに駆け足な物にしかならないような気がしてしまって、かなり心配なんだよな。
ああ、あと一点、本編とは全然関係ないけどカバーイラストの人物デッサン、相当おかしくね?
★★★
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