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こちら方面の番組が多めになる、年に二度ほどあるシーズン。本日はNHK総合で「日米開戦を語る 海軍はなぜ過ったのか〜400時間の証言より〜」。夏に放映された、旧海軍軍人たちによる「反省会」の記録テープをもとに起こした番組をベースに、三人の作家(半藤一利氏、澤地久枝氏、戸高一成氏)が語り合うような構成。んまあ豊富なソースの有効利用とも言えるし、コストパフォーマンス重視のお手軽再構成番組とも言えるようなでき。見てる最中にお風呂タイムがやってきて、慌ててお風呂入って出てきたら、すでに番組は終了してしまい、水樹奈々がインタビューに答えてた。こう言う時は再放送のあるNHK、ありがたく改めて見させて頂きます。
それはそれとして、番組の前半でちょっと興味深いお話が。戸高一成氏がコメントされてたのだと思うんだが、太平洋戦争開戦前の日本海軍の基本戦略というのが、対馬の海戦当時のそれとたいして変わりない(そして太平洋戦争においても割と基本パターンである)水際撃滅的なストラテジであって、なおかつ戦争遂行においては、開戦前に準備していた兵器、兵站で終戦(そこでどういう勝利条件が設定されていたのか、って話は別にして)までの戦闘行為が可能である、と言うのが前提になっていた、と言う話。
実際には前の戦争というのは猛烈な消耗戦となったわけで、そこで勝ちを掴むことができたのは、全てを「システム」として捉え、分析し、最適化できた国であったわけで、キモがシステムであることを全く理解できないまま戦争に突っ込んじゃった日本にハナから勝ち目なんてなかったんだな、ってあたりを再確認させられる。
日露戦争はかろうじて勝ち逃げできたけど、その後に来た凄まじい消耗戦である第一次大戦を本格的に経験せずにすんだ日本に、そこらあたりの意識が芽生えることが無かったのだろうな、と思わされた。そののちも戦争する気がないのなら、それはそれで幸福だったんだろうけど実際にはそうはならなかったわけで、「個」のレベルでやりくりするならともかく、国家のレベルで物事を考えるならば、一番厳しいシチュエーションを想定しておいてこそ国策、って事になるのだが、そこらの意識が今も昔もとてつもなく稀薄なのが日本って国なのかも知れないね。
もう一点、ここまで書いてきた話と微妙に矛盾するんだけど、この番組の冒頭で半藤一利氏が語った、「戦争が物語になってしまっている」と言う言葉も非常に印象的だったので、併せて記録しておきたい。
戦争はメカニズムであって、そこに半端なヒューマニズムを持ち込むと間違いなく事の本質を見失ってしまうと思うのだが、反面どこかで人間的な部分を見失ってしまうと、すごく大事なところを見過ごして、ろくでもない結果を引っ張り込んでしまう危険性もあるのだよな。
わたしゃ「物語」をこよなく愛する人間だが、「物語」とは物語の作者の意志が色濃く反映される(されてこそ、とも思うが)物であるとも思うので、そこで「事実」が「物語」に一方的に駆逐されるような状況もそれはそれでマズいんじゃないか、なんて事も思ったりするわけなんです。
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