ばむばんか惰隠洞

«前の日記(2009-12-13) 最新 次の日記(2009-12-15)» 編集

カテゴリ一覧

Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士


2009-12-14 [長年日記]

[Books] オペレーション・アーク 1 セーフホールド戦史

9784150117344 デイヴィッド・ウェーバー 著/矢口悟 訳
カバーイラスト ウスダ ヒロ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011734-4 \880(税別)

外宇宙の各所に植民惑星を建設していた人類が突如遭遇した異星文明。彼らはこちらからのコンタクトには一切反応せず、ただその強大な武力でもって人類文明の拠点を次々と潰滅させていく。遅ればせながらも対抗すべく宇宙軍を設立し、"ヶババ"と呼ばれる異星人に対抗するのだが、彼我の戦力差は圧倒的。窮地に陥った人類は、ヶババが探知し得ない惑星に人類の植民地を新たに設立し、そこで再度ヶババを駆逐するための勢力を育成しようとするのだが、オペレーション・アークと名付けられたその計画の指導者たちの間にも、微妙な主張の差異がしこりとして残っていたのだった…。

最近のハヤカワSFは、何でもかんでも帯に「超弩級戦争SF」って煽りをつけないと気がすまないのかね。そんなモノを期待してこの本を開いたら、序盤の40ページぐらいで「おいおい何が起こってるんだいこの本」って気分になり、さらにその後の展開で虫の居所が悪い人だったら「JAROに言うぞー!」ぐらい怒鳴り出しそうな勢いだ。

お話の流れは、そうだな、「マクロス」的なプロトカルチャーの遺産を残すべく用意された地球=セーフホールドに監察軍のブービートラップが降ってきてさあどうなる、みたいな。で、このブービートラップが降ってきたのが1999年じゃなく近世で、落ちてきたのも宇宙戦艦じゃなくターミネーターだったんだけどさてどうなるかね、みたいなお話と言えるか。同じ著者による「反逆者の月 3」の子供たちサイドのお話の捲土重来バージョン、とも言えるかもしれない。

極めて注意深くデザインされた、物質文明を否定し、特定の宗教への絶対的な帰依を要求されるような旧弊な世界に風穴を開けようとする、この世ならざる力を持った(持たされた)存在の大活躍ストーリー、ってな作りなわけで、前に「マクロス」を引いたけど、お話の本筋はむしろ、「アーサー王宮廷のヤンキー」あたりがルーツの一種のタイムスリップ冒険SFの作りになっていて、そこの所はそこそこ楽しめる。お話のとっかかりである本書では、近世レベルの文明社会に一人(一体?)だけ紛れ込んだ、宇宙航行種族レベルの文明によって作られた技術レベルのサポートを得られる存在が思う存分活躍するお話なわけで、んまあそれなりに痛快な出来なんではあるが、当然この先、いろいろ障害も待ち構えてはいるんだろうから、そこの所の展開はこの先のお楽しみと言うことで。

完全に日本語版の方のプッシュのしかたが間違っているって部分を差し引けば、そういう意味で楽しめる物語になっているとは言えるんだけど、ここまで既存の地球の文明と一旦縁切りをやれる状況を作っておきながら、それでも「宗教」を人間社会の中での大きな拠り所として残しておかなければいけない、と考えるアメリカ人SF作家の思考の根底にいったいどんなもんがあるんだろうと思ってしまうのは、こちらが基本的に神様と縁遠い国の人間だからなんだろうか。そこまで神様って大事にしなくちゃいけないモノなんだろうかね。一旦神様なんてモノを切り捨ててしまえば、世の中はずいぶんシンプルになってくれるんじゃないかと思うし、そういうところに斬り込んでこそSFだろう、とオレなんかは思ってしまうんだけどな。そこは少々気になった。

もう一点、これはお話本体とは全然関係なく、訳に関してなんだけど本書277P、

都市というものはすべからく、イルミネーションやライトなど、漆黒の闇を照らすエネルギーに包まれているのだと信じて疑わなかったのだ

すべからく「すべからく」は、「〜べき」で受けるべき。言葉は時代の変遷によって変わっていくものだとは思うが、そこの所の反応速度には差があってしかるべき。話し言葉やblogなどでの変容はそれなりに受け入れられるんだけど書物、なかんずく英語の文章を日本語に変換するような作業においては、日本語の文法は少々堅苦しいくらいに遵守した方が良いんじゃないだろうか。ほっといたって崩れるものはどんどん崩れていくんだから、印刷物としてそれなりに長い期間残る可能性のあるものは、安易に流れに乗って欲しくないような気はしないでもないな。

★★★

[F1] 別物なのは分っちゃいるが… (00:37)

ロータス、新しいチーム・ロゴを発表(F1通信)。別物なのは分っちゃいるが、「ロータス」って名前はおっちゃんの琴線を無駄にかき鳴らす名前なわけで、心穏やかではいられないんだよなあ。

いろいろダメっぽいんだけど、それでも心のどこかで、やっぱりこの名前には少なくない引っかかりがあるんですよね。タクの線は残念ながら無くなってしまったようですけど。


Google search
www.bumbunker.com
Web
2009年
12月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ここ1週間分の話題

傑作です

懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

バナーが必要ならこちらを
バナー素材

古本屋やってます
特殊古本屋 軽石庵

2003年9月までのサイト

巡回先
ROVER's HATENA

あすなひろし追悼サイト
あすなひろし追悼サイト

twitter / karuishian
«前の日記(2009-12-13) 最新 次の日記(2009-12-15)» 編集
©1996-2020 乱土 労馬:l-rover@kobe.email.ne.jp