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調子崩してもう五日目。というわけで私の久々の主婦稼業も五日目だ。昨日はサボったけど。だんだん料理のレパートリーが減っていく、と言うか病人に何食わせても、あまりありがたがってくれないんだけどさ。
一応起きてはいられるけど、まだ咳が止まらん様子。今年の風邪はしつこいのでしょうか。
シオドア・スタージョン 著/大村美根子 訳
カバーイラスト/カバーデザイン 森山由海
創元SF文庫
ISBN4-488-61902-9 \800
(『スタージョンは健在なり』改題)
1969年の夏、週に一編という驚異的なペースで書き上げられた11の短編に、50年代に発表された中編を加えた作品集。表題作はヒューゴー・ネビュラのダブル・クラウン。
知ってる人は知っている、サンリオSF文庫の一冊、「スタージョンは健在なり」の復活版。ああなんということだ、うちにあるこの本、いったいいくらの値段を付ける事が許されるのだろう(w。ざっと見比べてみましたが特に文章に大きな改訂が為されていると言うところもなく(多少はあるけど)、カバーイラストと活字サイズ(サンリオはちょい小さめ、でも行間が広めなので読みにくいという事はない)、あとサンリオ版には解説の類がない、という部分の違い、ぐらいしかない。古本屋的にはちょっと悔しい気もするが、改めて読み直してみれば、この本が手軽に買えるってのは、それはそれで良い事だよなあとも思えるのは確かなところで。悩ましい話ではあるね。
さて、毎週一作、という驚くべきペースで、かつこれだけ質の揃った作品をスタージョンがなぜ産み出し得たか、については解説で大森望氏が詳しく書いておられるのでそちらを乞御参照。何となくスタージョンってかわいいところあるじゃん、と思えてくる。収録作品はSFあり、ロマンスあり、青春小説あり、馬鹿話あり、実験小説風味の作品もありとバリエーションに富む。一気に書いた作品が多いせいか、小説的な技巧に富む、というものではなく、テーマの見つけ方と、お話をエンディングへの持っていく、そのテクニックのうまさが光る作品群になっている。O・ヘンリーかはたまたサキか、みたいな感じ、かな。
もちろんSFサイドのお話はどれも面白いのだけど、なぜか非SF側の苦い青春小説「ジョリー、食い違う」、が妙に切なく心に残る。あと、「きみなんだ!」は実にスタンダードな海外短編小説、なフレーバー。SFサイドだと、(SF度数は低めかも知れないけど)抱腹絶倒の「フレミス伯父さん」、秘境冒険ジュヴナイル「箱」あたりが私好みかも。はじめて読んだスタージョンが「原子力潜水艦シービュー号」だった私としては、本書のような、すいすいと楽しく読めるお話の方が好きかも知れない。なので週刊ペースで産み出された作品とは一線を画する最初の作品「ここに、そしてイーゼルに」で、そのトリッキーな構造に翻弄され、これが1950年代に書かれた作品だという事を知って心底驚かされる事になるのだった。サンリオ版も読んだはずなんだけど、今回改めて読んで、かなり新鮮な気分で読めたのは、もしかしたら22年前の私は、この本を開き、「ここに、そしてイーゼルに」にぶち当たって途方に暮れてしまっていたのかも知れない。今読むとこれはこれで何となく判るんだけど、駆け出しSFマニヤにとっては少々敷居が高い作品に、のっけからぶち当たってしまって、ちゃんと読まなかったのかなあ、なんて。
ただただしさんがご自分の日記で、
当時のおれにこれを与えても、あんまりありがたがりそうにない。
そんな、大人の小説。歳を食ってから読んだ方が、味がわかる。
って書いておられるのが何となく判るような気がする。ひとつには"スタージョン"ブランドを、なにかこう"エッジ"なものと期待してこれを読めば多分肩すかしを食らったような気分になるはずだし、そうは言ってもやはりどこかに、若造的にもっとこう、どうにかしてよ感もつきまとうであろう、ようなお話が並んでいるような気はするのだな。たださんがどうであるのかは知らず、いまや私はそれなりにものぐさになり、作家が与えてくれるものはとりあえず楽しませてもらおう、という気持ちの方が強くなっている傾向があるので、こういう、なんていうんだろ、作者の手のひらの上でごろんと横になって、のほほんと楽しめる短編集を読むのはとても楽しい。サンリオSFに入っていた、というだけで妙に身構えて読み始めた自分がバカみたいだな、なんて思った。
それにしてもサンリオSF文庫って、読んだはずなのにこれっぽっちも記憶に残ってない作品が多いのはどうしたわけなんだろう。個人的にサンリオで一番面白かったのは、(やや恥ずかしながら)「大西洋横断トンネル、万歳! 」だったりする(あ、「パヴァーヌ」もあるか)のはみんなには内緒の方向で(w。
(★★★☆)
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