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チャールズ・ストロス 著/金子浩 訳
カバーイラスト John Harris
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011567-2 \940(税別)
21世紀の中頃のある日、地球に暮らす100億の人間の9割が一瞬にして消滅した。社会構造はあらゆるところで大打撃を被り、人類がその痛手から立ち直るまでには優に一世紀の期間が必要となる。そしてどうにか立ち直った人類が知ったこと、それは地球から消滅した90億の人類は時空を超えて既知の銀河系宇宙の生存可能な惑星に強制的に移民されていた、と言うことだった。のちに"シンギュラリティ"と呼ばれることになるこの大事件を引き起こしたなぞの高次知性体、エシャトンの登場で、人類文明は大きな岐路に立つことになったのだ。そしてそれからまた、幾ばくかの時が経ったある時…
いきなり引用。本書のオープニング。
一日戦争が宣戦布告され、ノーヴィ・ペトログラードの丸石畳に電話の雨が降りそそいだ。
SFにしか描けない表現、SFだけに許される表現ってものがあるとすれば、これなんかはその代表的なものと言えるんじゃないだろうか。どうよ君(誰)、いきなり電話が降ってくるんだよ、比喩じゃなく本物の電話が。そしてこの電話が言うんだよ、「もしもし、わたしたちを楽しませてくれますか?」
しびれた。
著者チャールズ・ストロスのこれはデビュー作。"デビュー作には作家のすべてが詰まっている"とはよく言ったものだ。構成に少々とっ散らかったところが無しとはしないけれど、そんなのは些細なこと。サイバーパンクなイメージあり、超光速航法に関するちょっとびっくりなハードSF的奇想あり、日本で仮想戦記がどうしたこうした、エラそうに語ってる作家が青くなって逃げ出しそうな迫真のミリタリーSF風味あり、ネットワークの持つ可能性に対する(少々オプティミスティックに過ぎやしないか、って恨みも同時に持つけど)展望あり、何やらアヤシいフリークスに関しての描写にも抜かりはなく。サービス満点ではないですか、これ。
なんかもうあちこちで「え?」って思ってしまうところもあるんだけど、それでもこいつは私、激しく気に入った。この人(著者)はSFにしかできないことをやってる人だと思う。
正直お話としては少々尻すぼみ感のある作品だ。それでも本書を読んでいる間に感じる"アホらしいハッタリ感"みたいなものはちょっと、SF好きとして何物にも換えがたい物を感じてしまうわけで。ええもう、能書きはええからちょっと読んでみてくださいよって気になっちゃう作品、こういうのは珍しいかな。とりあえず惰隠洞イチ押しSF、には認定したい気分ですわ。
(★★★★☆)
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シンギュラリティ スカイ、良いっすよねぇ。私も激しく気に入りました。<br><br>水漏れを直す水道屋とか、勝手に電話線を引いちゃう電話工事屋とか、気に入ってます。ハイ。
面白そうですが、文庫なのに987円ってぇのは目玉が飛び出ますね。546ppかあ。大作。むむむ。
たおさんに借りる、ってのも手だけど、ここはやっぱり買っていただいて、ハヤカワがこの調子で面白いSFをどんどん出すのを応援してやって欲しい気もしますなあ。