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「本日のリンク元」のアンカーがどういう訳だか閉じてない状態になっていた模様。なぜそういう事が起きたのかは不明。使われるはずのない文字列でも紛れ込んでいたんだろうか? うーむ。
長山靖生 編
カバー 岡田真理子
中公文庫
ISBN4-12-204234-8 \667(税別)
日清、日露の戦争に勝利して世界の一等国の仲間入りを果たした日本。とはいえそれに続く大陸進出は他の列強の警戒心を呼び覚まし、日本国内においても常に、次に来たる戦争への怖れと関心は高い物があった。次に日本が戦う強国はどこなのか、来る戦争において決定的な力を持つ物は何なのか、そんなテーマで発表された架空戦記、さらに戦時中における銃後のささやかな日常を綴った掌編をまとめた本。執筆者には軍人出身者などに混じって、海野十三、横溝正史らの名前も。
わたしゃ「日米架空戦記」というからには日本とアメリカで発表された架空戦記を読み比べるような本なのかな、と思って買ってみたんだけれどそうじゃなく、これは日本側から見た、「日米もし戦わば」的なアンソロジーだった。そこんとこだけちょっと、騙された気分ではありました。
なにせ本当に戦争やる事になるかも知れない状況下で発表される作品だけに、荒唐無稽なエンタティンメントの形を取ってはいても、どこかでしっかり足を地につけている感じもするのが面白い。昭和8年当時にすでにテレビの実用化を予見し、明治末期にすでに航空機と石油の確保の重要性を説いているあたりの先見性はなかなか。これが戦時中の小説になると、核兵器や殺人光線みたいな、一気に回天を可能にするようなそれへとテーマが移っていくのも、戦局が不利になってる証拠なんでしょうな。でもその中で、核兵器の理論的な可能性をちゃんと分かりやすく説明していたりするあたり、もしかしたら当時の日本、正気を失ってたのは軍人さんたちだけだったのかも知れない、なんて気もしてくる。一般庶民はいつでも案外冷静なのだね。
詳しくは解説を読んでいただけたら判るけれど、この時期、日本は次に戦う相手がアメリカであると何となく覚悟を決めていて、その巨大な工業力も、それなりの情報を持っている人間であれば充分認識していたみたいで、それゆえ一気に劣勢の国力差を埋めるだけの究極兵器の製造が急務だ、と言う気分になっていたんだろうな、と思わせる。この辺、やっぱり貧乏人の考えなんだろうなあ。軍艦の数でも、飛行機の数でも、まともに戦ったんでは多分勝ち目はない。そんな日本に必要な物は何か? そりゃ、轟天だったり鉄人28号だったりフランケンシュタインの心臓だったりするわけだよね。超兵器で敵を一掃、ということは、それがないとアメリカ相手の戦争、大変に辛い物になる、ってのを識者はそれなりに予期していて、そうはならないようにした方がいいんではないか? と遠回しにメッセージを発していたんではないか、とも思えてくる。肝心の現場の人たちが、そのメッセージにあまりにも鈍感であったわけだけれど。
それにしても日本の貧乏さを感じちゃうのは、あらゆる超兵器、新技術が、天才的な個人の、努力だったり偶然の産物でうまれる事だよな。殺人光線は天才的なテレビジョンの発明家の手で開発され、核兵器は真摯な研究者たちの偶然の発見から実用化される。"マンハッタン計画"みたいな巨大なプロジェクトは、日本人にはなかなかイメージできない物なのかも知れない、と思ってしまった。ま、ゴジラを倒すのは天才科学者の悪魔の発明だし、ゴラスの災害から逃れる事ができたのは、高校生の戯言が発端だった国ですから、こりゃこういう国民性といえるのかも知れませんな。
(★★★)
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「一眠りしてから対策するだ。」は、ジョジョ誤植風に「するだァーッ!」とするか、「するニダ」が順当かと。
そして60何版目かで突然「するんだァーッ!」と改訂したりするわけですか…