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2008-01-05 [長年日記]

[Books] ウォー・サーフ (24:32)

ウォー・サーフ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)(M.M. バックナー/M.M. Buckner/冬川 亘) ウォー・サーフ 下 (ハヤカワ文庫 SF ハ 14-2)(M.M. バックナー/M.M. Buckner/冬川 亘) M・M・バックナー 著/冬川亘 訳
カバーイラスト 増田幹生
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011626-2 \760(税別)
ISBN978-4-15-011627-9 \760(税別)

意固地なジイサン大活躍

地球環境の激変が引き起こした"クラッシュ2057"は、全地球規模の汚染と人口の激減、そして経済システムへの大打撃をもたらした。かろうじて生き延びた少数の人間たちの苦闘により、地球はかろうじて壊滅の危機を乗り越えたが、"クラッシュ"以降の地球はごく少数の資本家たちによって慎重にコントロールされる世界となり、そこではわずかな数の資本家たちと、彼らの経営する企業体に雇用される、"プロテ"と呼ばれる労働者階級が存在する世界となっていた。"プロテ"たちは明日をも知れぬ毎日を送る一方で、経営者たち裕福な人々の間には、一種のゲームが高い人気を獲得していた。"プロテ"たちによって引き起こされた労働争議が戦争状態となっている工場地帯に潜入し、自分たちの勇敢さをwebに見せびらかす"ウォー・サーフ"。大富豪、ナジールがリーダーを務める"苦悩組"は、この"ウォー・サーフ"でトップクラスの人気を誇るチームだった。だが今、初歩的とも言えるミスが続き、無様な失敗を繰り返す"苦悩組"の人気ランクは下がる一方。ナジールたちは、ランクアップのため、無謀とも言える"サーフ"に挑戦しようとするのだが…

いみじくも主人公、ナジールがこんなことを言ってくれる。

ひょっとして、諸君はもういまごろには、このメモワールをブラウズしながらきっと———いくどとなく———なんでこんなものを読み続けているのかとご自分に尋ねられたことがおありかもわからん。そして、諸君はおっしゃる。だいたい、この語り手がひどいやつで、なんの取柄もないみたいなやつじゃないか。狭量だし、自慢話ばっかりしてる妙なじいさんで、髪の毛は植毛で、心臓だってちっぽけなバイオ機械かなんかなんだぜ。

まったくもってその通りでございます(w。

200歳を過ぎてなお、金に飽かせて最新装備に身を固め、労働者たちが命がけで戦ってる戦場に潜り込んでテレビカメラにピースサイン向けるのが生き甲斐のじいさん、そんなじいさんが惚れ込んだ小娘は、何かの影響受けまくりで、ノリ一発で簡単に転向しちゃう、どこぞの新聞王の孫娘みたいなノリなわけで、そんなヤツらに感情移入なんてできるわけも無く、「なんだこいつら」と思いながら読んでいくことになるわけで、特に正直、上巻を読んでいくのはかなりしんどい。キャラがこれで、そんな連中が自分勝手をやり続けるのを読んでいくことになるわけだから。

更に文体が輪をかける。原文のニュアンスがそうなのか、訳者、冬川さんのさじ加減が読んでるこちらと上手く合わなかったのかはわからないんだけど、老人が主人公だからと言って「わし」で語るのはありなのか、「梃子でも」でいいだろってところをなぜにわざわざ「手古でも」と充てるのか、漢字で良いところをなぜにひらがな表記でやるのか(「ひっし」、ってやっぱり違和感あるよね)、とか、いろいろ気になるところがあるんだった。

そんなこんなで特に前半、ぶっちゃけ「面白くねえなあ」と思いながら読んでた本書なんだが、上下巻併せて700ページぐらいのこの本、残り100ページぐらいになったあたりから突然面白くなるから困ってしまう。それまでのいろんなうんざり感のかなりの部分を吹き飛ばし、それなりに「おおっ」と思わせてくれるラストまで用意してくれているサービスぶり。我慢して読んでいったものだけがありつける感慨、のようなものを味あわせてくれる造りになっていて、そこは少し感心した。いろいろ不出来と思える部分もあると思うんだけど、それでも最後まで読んでいく甲斐はあった、と思わせてくれた事には感謝したい。

SFとしてなにかとんがった部分があるか? と言われたらそれはちょっと、ってレベルだし、よく考えると「それはありなの?」と思ってしまう所も多々あるのだけれど、お話の作り方の巧さで、ある程度そう言う不満を薄めてもらい、終盤の展開の面白さで、「まあ面白かったか」と思わせてくれる不思議な本。万人にお勧めはできませんが、SFにも「物語」っぽさは必要だろうと思う方なら、もしかしたら面白いかも。

★★★☆


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