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2008-01-02 [長年日記]

[Books] 石の猿  (24:09)

石の猿〈上〉 (文春文庫)(ジェフリー ディーヴァー/Jeffery Deaver/池田 真紀子) 石の猿〈下〉 (文春文庫)(ジェフリー ディーヴァー/Jeffery Deaver/池田 真紀子) ジェフリー・ディーヴァー 著/池田真紀子 訳
カバー装幀 関口聖司
カバーイラスト 水戸鉄也
文春文庫
ISBN978-4-16-770557-2 \773(税別)
ISBN978-4-16-770558-9 \773(税別)

捻ってねじってあちこち切れ目

何度となく厳重な捜査の網をくぐり、さまざまな裏稼業を成功させてきた蛇頭の大物。"ゴースト"の名で知られる彼は今、中国からアメリカへの密入国を斡旋する貨物船に乗り込んでいた。周到な準備と慎重な行動で、常に警備の手をかいくぐってきた"ゴースト"。だが今回は少し勝手が違っていた。事態の打開を図る移民帰化局、FBI、市警のスタッフは、"ゴースト"の行動パターンの予測をリンカーン・ライムに依頼。ライムによって"ゴースト"の行動パターンは明らかにされ、今彼の後方には急速で接近するコーストガードの巡視船の姿が。事ここにいたって、"ゴースト"は最終手段を決意することに……。

リンカーン・ライムものの第4弾。今回のお相手は文革の粛正を経て中国の暗黒街に入り込み、自らの才覚で暗黒界の大物に登り詰めた冷酷無情な殺し屋。ライムによって密航のコースを突き止められた"ゴースト"は、座乗する貨物船を爆破、沈没させ、密航の事実を無いものにしようとする。そのため、沈没を生き延び、アメリカ本土にたどり着いた密航者たちをも、顔を見られたと言う理由から全て抹殺しようとする。"ゴースト"の行動パターンを見抜きながら、彼が最終的に暴力的な手段を執るかも知れないと言うところを見落としていた、と言う罪悪感から、ライムもまた"ゴースト"の行方を追うのだが…、てなお話。

Twistの達人、ディーヴァーであるからこそ、こちらとしては、自分の予想を軽々と裏切ってくれる底意地の悪さを期待してしまうわけで、「ははん、このキャラが実はこれで、最後にはこうなって」みたいなこちらが一生懸命予想した展開を、軽く嘲笑いつつ裏切って欲しいと思って読んでいくわけなんだけど、うむ、さすがにライムものも4作目。ディーヴァー補正も交えて予想して読んでいくと、困ったことにこちらの予想がほぼ正解で、さらにオチの付き方に今ひとつ、スカッとしたところが無いのが辛い。予想が当たって不満だ、ってのはミステリ読み的にどうなんだろうと思ってしまうんだけど、でもやっぱり、ディーヴァーを読むって事は、作者に手ひどく裏切られる快感を得る、ってところに一番の魅力があると思うわけで、そこを削がれると、やっぱりちょっと淋しいな。

途中から"ゴースト"追跡に参加する中国公安の刑事、ソニーがかなり魅力的なキャラクターで、ストイックかつ徹底的に理詰めで推理をしていくライムと、中国4000年のまったり生活の知恵的経験則を武器に、なあなあとも思えるような捜査っぷりでライムやサックスをイラつかせながら、案外きっちりと事の真相に迫って見せるソニーの対比も面白く、キャラクター的な魅力の部分は相当なもので、そこを読んでいくのは相当楽しめるのだけれど、ディーヴァー作品の真骨頂、読者をあっといわせるどんでん返しのショックの快感は、少々足りない恨みはあると思った。真犯人が割と早めに割れてしまっても、ディーヴァーだったらそこからさらなる(展開的な)どんでん返しを用意してくれていそうなものだけど、残念ながらそちらも少々弱め。

そうは言ってもそこはディーヴァー。凡百のユルいサスペンスに比べたらはるかに面白い作品になっていると思うんだけど、それでもやっぱり、こちらとしては、ディーヴァーには手ひどく裏切られたいと思って読んでいるんでね。そこを満たしてもらえなかった不満は残ってしまった、と言えるかな。

リンカーン・ライムものは翻訳され、単行本化された作品があと3作あり、それなりに楽しみにしたいと思うんだけど、それ以上に楽しみなのは短編集、"More Twisted"が昨年本国で刊行されているようで。第一作、「クリスマス・プレゼント」の捻りっぷりが快感だったこともあり、こちらも早く訳出して欲しいものですな。

★★★


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