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大森望 責任編集
カバー装画 西島大介
カバーデザイン 佐々木暁
河出文庫
ISBN978-4-309-41113-2 \950(税別)
全編書き下ろしの日本SFアンソロジー第6弾。今回は10編を収録
今回もかなり短いインターバルでの刊行。何でも「5」が刊行された時点で、本書のための原稿はほぼ揃っていたんだそうで、そりゃ出ますわな、続々と。って事で今回も短く感想を。
NOVA4に収録された「ドリフター」と同じ設定で語られる、ちょっと変わったラブ・ストーリィで、最近話題の吉本関連ネタとは関係ない(あたりまえ)。個人的に街行く人の装着するマスクの面積が日に日に大きくなっていって、このままじゃあ顔が分んなくなるよなあなんて思ってたタイミングで振ってきた、世の人がみんな助清状態になっても一目惚れってあるのか問題に軽く斬り込む一編(そうか?)。ラノベ読みでない自分にとって、こういうキャラの立て方がラノベ的スタイルなのかなあ、なんて事もちょっと思った。オチが若干分りにくい気がするんだけど、これはつまり、このシリーズの常連である守衛のおっちゃん(良い味出てます)が、「観測者」である、って事なのかな。
人力で軌道エレベータを登り切ろうとする男の物語。直球のハードSFで、それ故の魅力も欠点も併せ持つ。投稿作品で、かなり編集さんとの間でやりとりがあったそうだが、それがどちらの方向に働いたものなのか、ってあたりにちょっと興味がある。均されて少々「普通だな」感が先に立つ作品になってしまったのか、もとのズタボロぶりが編集さんの手腕でちゃんと読めるものまでブラッシュアップされた結果がこれなのか、どちらなのだろう、ってあたりが気になったのでした。
お話は前述したとおり、極めて直球でいいんだけど、一番の根っこ、一人の人間の十五年を掛けたチャレンジ、ってのは、メディア的にとって十五年付き合うに足る素材なのかなあってところが今ひとつ説得力に欠けてるような気がしないでもない。
大森望さんの口上で、「トホホミステリの旗手」なんてレッテルが紹介されたものだから、その「トホホ」の部分を期待して読んでいったんだけど、これはそんなところは微塵もない、極めて王道にしてオーソドックスな時間SF。トホホどころか大変端正な造りの時間SFなんだけど、残念ながらこう言うのは俺、もう読んでる。
創元SF短編賞、第1回受賞作家による連作シリーズの前日譚。肝心の「代書屋ミクラ」のシリーズの方を読んでいないのであまり突っ込んでコメントできないんだけど、理系の論文の代書、というのはかなり面白いテーマで、自分が勝手にこの方に対して貼っているレッテルであるところの、「理系女子版瀬名秀明」ならではのお話の展開を期待してしまうんだが、そう言う部分とコイバナのバランスの按配が、ちょっと上手くなかったかなあと言う気はする。これはこれで良い感じなんだけど。
子だくさん母さんが、自分の身体を危険にさらしてまで子だくさんにこだわる、その理由とは…。これも自分的には、自分が多めに読む本と、そうでもない本(平たく言えばラノベだね)との間にある境界線上でホライ…いやいや、ダンシングしてる系のお話、という印象。「SFであるか」ってところをどのくらい重視するか、どこを基準に「SF」の線引きをするのか、ってあたりをちょっと考えてしまうお話。ぶっちゃけ、
単体で見たらこれはSFじゃねーだろ、と思う反面、この作品がSFアンソロジーに収録されたら、それはそれで受け入れるよな、みたいな(w。
見た人のエモーションを直接データベースに反映させることが可能な技術ができた世界で、自分と他人の関係性を演劇を通じて問い直す、みたいな。ニコ動の「歌ってみた」とかが拡張された世界という事になりますか。ちょっとオチが理解できなかったのは、こっちの感受性が磨り減っているからなのかな。
なんて言うんだ、概念SF? 何かバラードっぽいなあと思いながら読んだ。最終的に「徒弟」というのは、実は人間ではない何かなのかしらね。
ぶっ飛び具合がなんて言うのかな、いつもの北野勇作SFが持ってる、どこか乾いて明るいところに着地してくれない作品で、これを震災以降に読むのはちょっと辛いものがある(作品自体は少し前に書かれたものだそうですが)。実は本書に収録された作品群の中でも、分らん方のランキングで上位に位置する作品になるんじゃないかと思うんだが、何となく読ませちゃう筆力、ってのはあるんだなあとは思った。
でもやっぱり良く分からん。
まともに3.11以降を扱った作品で、その「重さ」みたいなものに向き合う姿勢を決して否定する気はないんですが…
SF好き的に「原子力」ってのがある種のワイルドカードであった時期というのは確かにあったわけで、そこに向き合う姿勢としてそれは本当に真摯なものなんだろうか、と思ってしまうのも確かなところで。核エネルギーが絡むとSF陣営は立場がちょっと弱くなってしまうよなあってところはあるのだよねえ…。
一種の箱庭的世界で語られる人格問題。ストーリーテリングの巧さは流石なんだけど、宮部みゆきはSFの人ではないんだなあ、ってのも改めて確認できるようなお話、といえるのかしら。その「巧さ」がどこかでSF的快楽を削いでしまっている、みたいなね。
集まった作品のテイストがそうだったから仕方ない、とも言えるのかも知れないkれど、やや地味目のアンソロジーになってしまったかな。やや低調傾向、だったかしらね。
★★★☆
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