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鷹見一幸 著
カバーイラスト 太田垣康男
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031333-3 \640(税別)
粛清者たちの本拠への強行偵察任務中に抗命行為の疑いが発生し、なおかつ自艦も失い救助ポッドでかろうじて帰還を果たした恵一。査問会を待つ間、緩やかな謹慎処分として久しぶりに地球に帰還した彼は大きく自然環境が変貌した地球の姿を目の当たりにする。一方人類文明陣営は、成功を収めた恵一たち第一次偵察作戦に続き、第二次の偵察作戦が準備されていた。その主力になるのは恵一に抗命行為ありと告発した種族を含む3万隻の大艦隊。だが彼らの指揮官たちは、恵一から上がってきた詳細なレポートを一顧だにしようとしないのだった…。
7月発売だった予定が1か月ばかり延びることになり、どうしたんだろうと思ったんだけど、ともあれ出してもらえて大変ありがたいですね。さて肝心のお話。前巻の感想で、最後にさて恵一たちが遭遇するのはヴェランシアのウォーゼルか、恐怖のデルゴン貴族なのか
なんて書いたけど、どっちも出てこなかったよ(w。著者の鷹見さんはそういう、主人公の脱出行にまつわる様々な冒険を描きたいわけじゃなく、むしろ描きたいのは一貫して、組織の中にある個人の組織との関わりと、あとはここに用意された未来社会の世界の構造的な部分をこそ描写したいのだな、という気はした。
上級種族によって使役(というのもちょっと違うかも知らんけど)される中位、下位種族たち。そこにはやはりそれぞれの事情や軋轢なども存在し、そんな複雑な世界にいきなり放り込まれた新興種族である地球人たちが、今までに経験したことのない状況下で、それまではぱっとしたところのないひとりの青年が、一般的には組織向きではないと評価されてしまう資質を最大限に発揮することで、あれよあれよという間に上位種族たちに、ダウナーな方面での波紋も含めたびっくり評価を高めていく、というあたりの面白さが本シリーズの面白さだと思うんだけど、そちらの方面の面白さに、著者のサイドもほぼ全ステ振りしたいってことなんだろうな。そういう見方をすれば、この展開は納得だし、その流れもおもしろい。その上で一方的に戦争に巻きこまれ、大きく環境を変貌させてしまわざるを得なかった地球の復活への可能性、みたいなものへも言及があってぬかりがない。
そんなこんなで大きな外れはないんだけど、全体としてはなんだろな、やや予定調和感が強めに感じられる作品になってしまった感は否めない。これはこれで悪くはないと思うんですけど、例えば反対勢力の動きとそれがしっぺ返しをくらう展開(ここが次巻以降のヒキになるわけですが)であったり、後進を鍛えるための艦隊戦シミュレーションであったり、おもしろくはあるけれどもそこにショックはない、というのが正直なところかな。まあおもしろいんだからそれ以上、何を要求するのさ、ってことにはなるんだけども(^^;。
最後にどうでもいい文句、軍人の階級として「上級少将」とか「上級中将」とかが出てくるのはちょっと…。「上級大将」は全然アリですけど、それは大将と元帥の間を埋める存在だからありだと思うけど、その下にも変な位づけするのはどうかと思っちゃった。普通に中将に昇進させるのに、どんな不都合があったんでしょうね…。
★★★☆
極めて大きな台風21号、関西では昨日の午後くらいからが最接近だったようで、神戸の山奥ではお昼ぐらいから雨風(特に風)が強まり14時前後の一段落を挟んでまた風が強まって、夕刻には収まった感じ。規模も大きいけど移動速度も速めだったので、意外にすんなり行ってくれたかな、なんて思ったんだけど、ネットを見てみると大阪方面でかなり大きな被害が出ていたようで、いまだに結構苦労されてる方も相当多くいらっしゃるようでもあるし、ネットを見て改めて「うへえ」と思ったことでした。
自分は昼ぐらいに台風がやってくるってことで、朝イチで原チャ飛ばして食料など買い集め(スーパーも12:00で閉めるって貼り紙あったので、出ておいてよかったよ)、あとは単純な傍観者でいて良かったんでまあ、お気楽でいられたんですけど、地域によってはかなりシャレにならん被害が出ている地域もあったようで、当該地域におられた方には心からお見舞い申し上げます。
翌日はうってかわって良いお天気で、ちょっと本を買いたかったのでハーバー方面に出かけたんだけど特に被害を受けてるような地域も見かけなかったんだけど、鈴蘭台に戻ってみたら、自宅の近場の区民センターの横の公園の植木が一本、見事に吹き飛ばされてて、ああ、結構凄い風だったのね、なんて再認識させられましたよ。
朝、電話で叩き起こされる。北海道で大きな地震があった(お見舞い申し上げます。雑ですいません)関係で、王将グループが安否確認の自動電話をかけてきた(M5以上の地震があると、自動的に作動するものらしい。それはいいけど『無事ならダイヤル0』つーから0押しても、『番号を確認できませんでした』って応答するのは何でや? KDDI電話でワイヤレスの子機からの信号なんぞ知らんわ、ってことか?)のでした(^^;。
そんなこんなでなにやらイリーガルな誕生日当日スタートですけどそれ以外に変わった事は何もなく、プレゼントくれたのはJT(Jミニッツ500コイン)のみと言うね(w。
ま、あと一年生き延びたらいつでも1100円で映画が見れるようになるんで、それを楽しみに細々と生き延びたいと思ってます。
林譲治 著
カバーイラスト Rey.Hori
カバーデザイン 岩郷重力+Y.S
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031340-1 \840(税別)
4000年以上前、今や伝説でしかない地球を後にした播種船団は、遙かかなたの星団に植民地を発見し、旧地球の文明のアーカイヴを元に、ここに新たな人類文明を築き上げ、それは出雲を中心にした5つの星系に拡張していた。その中で一番の辺境である壱岐星系で、小さいが不可解な物体が発見された。機能や目的は類推できるが、人類のものとは到底思えない無人の探査衛星。それはこの宇宙に、地球人類以外の文明が存在する可能性を示唆していた。そしてそれは、少なくとも5年前には同種のスパイ衛星を壱岐星系に展開していたことが明らかに。程なくその衛星の送り主は、実体を伴った存在として人類の目の前に現れる…
ガイナス、と名付けられたその異星文明は、最終的な目標はわからないながらも、当面は人類社会への攻撃を開始する。かろうじて奇襲を受けることは回避した人類だったが、徹底的に自分たちの情報を秘匿し、そのためには味方を犠牲にすることも厭わない、人類には理解しづらい行動原理の元にやってくる敵を、人類はどう迎え撃つか。で、ここで最も重視されるのが、戦略や戦術ではなく、戦争をする前の準備をどうするか、ってところ。軍隊を編成し、拠点を用意し、そこにどのように物資を運び続ける(続けないといけないんだよね)には何が必要になるのか、どんな人物が必要になるのか、ってところにかなり深く斬り込んでくるあたりが、昨今よく見かける、「謎の異星生命体の攻撃に立ち向かう人類艦隊モノ」とは一線を画していると言えますか。
タイトルに「兵站」としっかり表記されているものだから、延々WWⅡにおける北極海の死闘的な、補給船団の苦闘が描かれるようなお話なのかな、と思ったらそういう物ともちょっと違って、もう少し巨視的なところから、財政、生産、補給、そして回復に至る一連の流れをまとめて描きたい、というのが本書の執筆意図と言うことなんだろうか、兵站というよりもロジスティックスですね。
この、やや地味目(故に個人的には割と好物なんですが)なテーマをベースに、林譲治さんの作家としてのもう一つの顔である、ハードSF作家のそれが顔を出してくるあたりが面白い。それをものすごくわかりやすく表現するところなんかも含めて。作中出てくる超短距離ワープなんて、「ヤマト」世代なら思わずニヤリとしてしまうよね(w。さすがに補給で一冊保たせるなんてのは至難の業なんで、随所で挟まる派手な見せ場の部分も、著者の架空戦記とハードSFの書き手としての手練れっぷりが良い感じにフュージョンしてると思う。その上俺の大好きな、ラストで一発大ショック、も用意してくれてるし(w。
まあこれは主に架空戦記方面への偏見かも知れないですけど、登場人物のキャラ立てがそちら方面のステレオタイプ感をちょっと感じるのと、全体にソリッドな文体にたまにちょっと軽めの(偏見ですよ、偏見ですけどなんかちょっとラノベっぺーなあ、と思ってしまう)セリフが挟まるのは個人的にはちょっとイヤかも。基本堅苦しい翻訳SFを多めに読んできたおっさんは、急にくだけたセリフが挟まると、そこでちょっと引っかかっちゃうんだよね(^^;。
若干もっさりした感も無しとはしないのですが、それでもとっても楽しみなシリーズ開幕編。どうでもいいけど「あとがき」もちょっとクスクスできますよ(w。
★★★☆
ここのところ少々お腹に余分なお肉が付きすぎなんじゃないか。パンツもズボンもきつく感じるぞ。これはもう間違いなく、毎日毎日おやつ時に、ロング缶を一本空けてるからに違いない。まあ今年の夏は暑かったしねえ。
でもそろそろ食欲の秋だし、逆に控えられるところは控えた方が良いよな。うん、今日からおやつのビール無しにしよう! って決めたんですけど、いざ買い物に出かけたら、「や、今日で最後、ってことで…」なんて日和って、つい一番搾りのロング缶も買い物カゴに。
んでお家に帰ってビールを空けて、「そういやKindleに読んでない本があったな」と思ってごそごそ、ちょっと暗いな、と思ってスタンドを調整した弾みに、スタンドの横に立ててたZippoのオイル缶が落下、缶ビ直撃、床まで落下、半分くらいのビールが床に吸われる羽目に……。
バチあたりましたね。明日こそはおやつビール、無しにします。
今はスポーツ方面の話題はむしろ大坂なおみ選手、ってことなんだろう(GTRもらえる(AERA dot)んだってね、って、そこかい)けど一応結果だけは追いかけていますが、まあ今シーズンは交流戦を明けたあたりから急速に興味が失せてしまってはいたんですが、本日の試合T4-6S。単独最下位ですか。ここで明日は藤浪きゅんですか、ううむ……(つoT)。
六勝寺と呼ばれる六山筆頭、法勝寺はいま460日にわたる祈祷をその柝念炉に取り込み、第1宇宙速度が可能な状態にあった。目的地は39光年先の持双星。最新の佛理学によって本来46000日の祈祷が必要だったものを460日に圧縮し、39光年の旅程は49日間で可能となった。今、照海ら7人の宇宙僧が法勝寺飛塔の中枢、方丈に乗り込もうとしている…。
第9回創元SF短編賞受賞作品。ネットでちょっと話題になったときにKindle版を購入していたんだけど、何となく読みそびれていたもの。どうも自分はKindleを積極的に利用することが下手みたい。
さてそういう事で2か月ぐらい遅れて読んでいったわけですが、なんだな、自分が予想してたのとは違ってた(w。自分は仏教用語がつるべ打ちされる、田中啓文的ダジャレ・スペースオペラみたいなものを何となく予想してんだけどそうではなく、大変精緻に考えられた物語を駆動するための背景に「佛理学」がある、と。だから「佛理学」とその用語たちを「バーゲンホルム機関」とその用語に置き換えたら、法勝寺飛塔は自動的にドーントレス号にすり替わる…かも知れない、ような気はする(^^;
と、言ったものの実際にはそうもならないんだろうな。なぜなら基幹になる物語が、実は極めてオーソドックスな日本SFのスタイルを踏まえたものになっているから。初期の山田正紀とか半村良とかの、一種の和風神殺し系伝奇SFの系譜の最新型としても充分読めると思う。ラストなんかちょっと、古き良き日本SFの香りがして、なかなか良いな、と思ったことでしたよ。その上でこのお話をなんだか独特なものになっているのは、「佛理学」をはじめとする用語のつるべ打ち。
もちろんテクニカルタームを連発するSFはいくらもあるけど、このお話が独特なのは、その用語たちがすべて仏教用語から来る漢字の大軍であること。これで何が変わってくるかというと、それはリズム。仏教関係だから用語は全部漢字になり、それは文字数はともかく見た瞬間に目で感じるコンパクトさ、みたいなものは結構大きいんじゃないかと思うんだ。ぽんぽんとくり出される用語の、目への入り方とそれを理解するまでのタイムラグみたいなものが、カタカナ用語のそれに比べると、ものすごく気持ち良いの。その上で突然「摩尼車」に「フライホイール」なんてルビが振られると、思わず「ふふっ♥」となってしまおうってものでね(w。
というわけで、極めてオーソドックスなお話に、とても口当たりの良いパワーワードをちりばめた、という技巧が光るお話と言えるでしょうか。楽しみました。
★★★☆
朝日新聞が賄賂をくれた(契約延長につきVISAギフトカード16000円分。カミさんと折半)ので、本でも買うべと三宮へ。ハーバーでも良いんだけど、大垣書店はヴォネガットの「人みな眠りて」が入ってないか売り切れちゃってたみたいなので。ジュンクにあることはhonto.jpで確認できるから安心。どの店舗のどの棚の何段目にあるかまでわかるからね(w。
久しぶりにSAVOYでカレー食って、ジュンクで本を6000円分ぐらい買い込んで(^o^)、あとは歩いて新開地方面へ。雨がちょっと強めなのでアーケードのあるところ重点で、元町~高架下をてくてく。JR元町駅隣のジャパンブックスが閉店してたんでちょっと驚いた。そこそこ人も多く集まる駅横の書店でも閉店しちゃうんだね。書店には厳しい時代になっているのかな。
そういう意味では高架下もこの先どうなるか。西に向かって1~7まである高架下商店街、より三宮寄りの東のほう、1、2あたりはまだ若い人向けの面白げな店が入ってて、それなりに明るい雰囲気(立ち飲み屋が増えてるな、いっぺん迎え撃っておかないと…)があるんだけど、3から先はやや昏く、シャッター下りっぱなしの店も増えてくる、し、怪しい店も増える。前から言われてるJRとの交渉の影響か、高架下に入っている店舗さんにもそれなりの危機感みたいなのはあるのだと思うが、積極的なのは3、かなあ。こんな感じの意見広告が、いろいろ吊り下げられてました。これ以外にも色々ありましたよ。
高架下全通して、ちょっとハーバーの方も偵察して、それから新開地の立ち飲みでぷはー。よく歩きました(w。
ルーシャス・シェパード 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 日田慶治
カバーデザイン 坂野公一(welle design)
竹書房文庫
ISBN978-4-8019-1588-6 \1100(税別)
数千年前、魔法使いによって封じられた巨竜グリオール、その全長は6000フィート、高さは750フィートに及ぶ。その巨体には長い年月の間に土が積もり、川が流れ、村落がつくられていた。だが魔法使いの術式は完全ではなく、動きは取れず心臓の鼓動も呼吸も止まっていたが、グリオールの精神は死んではいなかった。竜から発散する精神波は、周囲の人間たちに微妙な影響を与えていたのだ…
ルーシャス・シェパードは日本ではあまり本が出てない感じがあって、「緑の瞳」「ジャガー・ハンター」「戦時生活」ぐらいしか記憶にない。ラテン・アメリカ風マジック・リアリズム風味だったかな、ぐらいの印象だったかな。そんなシェパードの唯一のシリーズもので、全7作のうち前半部分の4編の中短編が収録されている。うまく説明できる自信はないけど、各話についての簡単な感想を。
いまだ完全に死に絶えてはいないグリオールを完全に死滅させようとやって来たのは一人の画家だった。毒性のある塗料を用いて竜の体に絵を描くことで、その毒でじわじわと竜を殺してしまおうというのだ。多大な費用と時間をかけて、絵を描き続ける男の結末は…
長い時間のなかで、本来の目的とは異なる欲望が産まれたとき、もとの狂信にどのようなゆらぎが産まれるのか、的な。
グリオールにへばりついた村、ハングタウンに住む男は竜の影響により近いところで娘を育てることで、何か特別な存在に育つのではないかと考えた。その娘、キャサリンは父の思惑通り美しいが奔放な娘に成長する。ある日、やむを得ぬとは言え殺人を犯してしまった彼女は、追っ手を逃れるためグリオールの体内に潜り込むのだが…
非常に限定的な環境下でのエコSFとでも言うのだろうか。竜、竜に寄生する様々な生き物(なかにはかなり人間に近い者たちもいる)、さらにはこれもグリオールの思惑なのか、超自然的な存在との出会いもある。閉塞感たっぷりながら、ラストは少しだけ解放感もある。
グリオール由来とおぼしき石を握りしめて立つ男。その傍らには怪しげな新興宗教の教祖の死体が横たわっていた。ここまで決してぱっとしないキャリアを重ねてきた一人の弁護士は、この事件で名声を勝ち得ようとするのだが、肝心の被告人の態度はどうにも不可解で…
一種の法廷ものとして充分楽しめるんだが、ここにグリオールがもたらす精神への揺さぶりが加わって、お話自体も揺さぶられていく。
粗暴な男、ホタは成り行きで人を殺してしまった。追及の手を逃れるために金目のものをかき集め、テオシンテの街に移り住み、それなりに穏やかにくらしていた彼は、ある日グリオールの上空を飛翔する一頭の小ぶりな竜の姿を目撃する。その竜が着地したと思われる場所へ向かったホタが目にしたのは、一糸まとわぬ若い娘だった…。
人間と竜の一種の恋物語と言えるのだが、甘さよりは不穏さ、苦さの方が先に立つ。ある意味グリオールの力のようなものの作用が一番わかりやすく描かれているかも知れない。
てな感じでしょうか。非常に濃密で、かつ、これは訳者の内田昌之さんの力量もあってのことだろうけど非常にリーダビリティが高い。重厚と平易が非常に高いところでバランスをとっていると感じた。そこで語られるのは欲望と愛情のせめぎ合い、ということになるでしょうかね。
いやあ、これはなかなか結構でした。文庫本にしておくには勿体ない装幀、カバーイラストなども含めて大変上質な一冊。ついでに著者による「作品に関する覚え書き」が相当不穏でギョッとして、続くおおしまゆたか氏の解説で、さっきの「ギョッ」も順当なのかわからなくなる、というおまけ付き。ついでにこの「解説」もなんというか、凄く(または無駄に)熱くてお得感満載です(w。
★★★★☆
リンダ・ナガタ 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト 筑波マサヒロ
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012198-3 \1180(税別)
国家と巨大複合産業体が独自に軍隊を持ち、各地で紛争を行うようになった時代。米軍の精鋭はドローンで情報を得て、クラウドを介した情報伝達機能をもつスカルキャップで迅速かつ正確な戦闘情報を受け手行動する。
「
杞憂でした、というかこれ、最近わらわら出てくる脳筋ミリタリSFとははっきりと一線を画した、ちゃんとSFである必然性を備えたミリタリSFになっていると思った。
お話はあらすじで述べたような展開で、主人公シェリーはのちに"レッド"と呼ばれることになる謎のメッセージ送信体(原題が"RED"なんだからここは明かしてもいいよね)による割り込みを受け、それに反応することで時にピンチを凌ぎ、時に部隊を有利に動かすことが出来るのだが肝心のレッドの正体や目的はわからない。ここのところの、一種ディック的とでも言うのかな、今の俺の反応は本当に俺固有の反応なのだろうか? すべては何か、別の存在の意思によって動かされているものなのではないだろうか? という不穏な感じが常に作品につきまとっていて、この感じが単なる安易な脳筋ミリタリSFとは決定的に違う面白さを本書に与えていると思う。単純なスペック羅列のミリタリSFとは違い、そこにクラウドを介した情報伝達と集積、その拡大再生産という、現在ただいまの状況を参照した上で盛り込まれるSFとしての提案、が盛り込まれているのが素晴らしいと思うんです。
その上で、ああこれはリンダ・ナガタっぽいのかな、って描写もあってそこも楽しい。レッドのメッセージを受けて反応したものの一瞬その反応が遅れてシェリーは重傷を負うんだけど、その治療に扱われるアイテム描写なんかはそちら方面のお楽しみということになるかな。こっちはまあ、これまで刊行されたミリタリSFでもあった描写、とも言えはするけどそれはそれで悪くない。ナノマシンは出てこないけどそれは措いといて、それなりにハイテクSFの面白さはあると思った。
毎度おなじみ三部作なんだけど、レッドの正体、シェリーの恋人の扱い等々、良い感じのヒキがいっぱいあってこれは楽しみな三部作になりそう。リンダ・ナガタさすがだと思いましたよ。
★★★★
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□ まなたけ [そんな乱土さんに、はっぴ〜バースディ! 王将?でビールぷはー!してね! へ^^;🖖🏼 なぜ、知ってるか?って?^^..]
□ ROVER [どもー。あと一年頑張れば、いつでも映画が1100円で見られるようになるので頑張りまっす(w。]
□ まなたけ [^^;🖖🏼ふんわり、ブログ、また始めとるです。ほとんど、140文字以上の呟きですが^^;🖖🏼^^;]