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2005-03-04 [長年日記]

[Comics] お買い物 (18:08)

ゆうきまさみ「鉄腕バーディー」(8)、吾妻ひでお「失踪日記」、安野モヨコ「監督不行届」、大塚英志プロデュース「comic新現実」(3)。

吾妻さんの「失踪日記」が強烈。断片的には聞いてたんだけど、'89年の突然の失踪からホームレス暮らし、'97年の二度目の失踪とその中でのガス管工暮らし、さらにはアル中が高じて精神病院送りになってしまった、という壮絶な体験が、以前とさほど変わらないタッチでマンガになっている。なんかもう、笑うに笑えないというか、淡々とギャグマンガとして描かれている分、その裏の真実というのがいかばかりのものだったのか、想像するとちょっと怖いというか、でもマンガにする、ってのはこういうことなんだろうな、きっつい商売だなー、とも思いましたけど。

で、その辺の事情がもう少し詳しく読めそうなので、「comic新現実」も購入。こちらはぼちぼち読んでみます。

[F1] 初戦開幕 (22:21)

金曜日のフリー走行、一回目にいきなりリウッツィがトップに来たりして驚いたけど、二回目になるとマクラーレン、マクラーレン、ウィリアムズ、とまあ何となく安心する名前が前の方に並んでた。ま、まだフリーなのでこれで何かが決まるようなものでもないけど、ジェンソンとタクのポジションがやや後ろめで、かつその差がそんなに変わらないと言うのがちょっと気になるかな。なんでもフロントウィングの形状が違うものを使ってる、とか聞くけどその影響? タクの方に余計にエンジン温存指令が出てるとか? なんにしても明日の結果を見てみないとわからんね。

今日のフリーは走れなかったミナルディも、どうやら明日は走れそうだけど、これも後々揉めそうな感じはあるかも。まあ、今年のレギュレーションに合わせたクルマができてない、んじゃさすがのストダートもちょっと分は悪いかな。

[Books] comic新現実、と、吾妻ひでお (23:45)

どっちかというとこれは「本」の話になると思うのでこちらのカテゴリで。

で、まだそんなに読んでないんだけど、なんだな、これはつまりかつて編集者であった、んでマンガ原作者でもあり評論家でもある大塚英志が、「オレとはこういう人間なんだ」と世間に言いたくてしょうがないから作った本、という感じだな。で、マンガ誌の編集者およびマンガ原作者としての大塚英志に全然興味のない私としては、この本の半分以上は要らんスペースなのがちょっとつらい。それ以外のところでは吾妻さん特集があったり、みなもと太郎氏のトークが収録されてたり、保阪正康氏の連載があったりするんで、全部要らん、とも思えないあたりがまたつらい。この分量で税別933円はかなりコストパフォーマンス高いとは言えるんだけど。

とか言ってるうちにこの本絡みで2ちゃんの大塚スレ(サブカル板で探してね)が妙に賑やかになって来てたりするなあ。んー、大負けに負けて、もう一回ぐらいは買ってみようかしらね。

さて、吾妻ひでお特集がなければ買ってなかったこの本なんだけど、肝心の特集の方は、なんですな、「失踪日記」を買ってる人ならわざわざこっちを買う必要もないかなあ、と言う程度の出来だったな。せっかくの吾妻さんとの対談も、「失踪日記」に収録されている吾妻さんととり・みきさんの対談の後ではそないに新しいネタが明かされてるようにも思えないし、人が介在して何かが語られるのを読むヒマがあったら、当事者が自分の手で表現した作品から何かを読み取れよ、って気もするし。

基本的に大塚英志が吾妻ひでおをどう見てきたのか、に凄く興味がある人以外には大した価値はない特集、の様な気はしますな。

実はそこが結構重要なのかも知れないけど。

私は'70年代の終わりから'80年代を通じて、自分がいわゆる"アジマニア"であったと自覚している。で、彼が姿をくらまして、その後復活し、「クラッシュ奥さん」とか「銀河放浪」と言った作品を発表したのに触れたときに、自分の中で吾妻ひでおは終った、という感慨があった。ええと誤解のないようにお願いしたいのですが、「終った」は「吾妻ひでお」にかかるのではなく、「自分の中で」にかかるのですよ。今でも吾妻さんのマンガは好きだし、出てるのを見つけたら躊躇わずに購入する(でなきゃ『新現実』なんて買うかい)けども、もはや昔のように「今度は何をやってくるんだろう」とワクワクしながらページを繰ることはできなくて、凡百のマンガと同じ程度の批評眼でもって吾妻さんのマンガに接するようになってしまった、という感じ。

で、大塚英志はまだ、吾妻さんになにか特別なものを見出している、か、見出したいと思っているように、この本をぱらぱらと見てて思ってしまった。それは、吾妻さんを代表格とするマンガ家さん達の活躍が、大塚英志にとってキャリアの第一歩になったということに対しての、彼なりの仁義なのかも知れないし、彼にとってはまだ、マンガ、あるいはオタクシーンにおいて吾妻ひでおというのは無視してはならない文脈なんだ、という主張なのかも知れない。いま、その主張ができる大塚英志という人は、なんだかすげーな、とは思った。私は今、吾妻さんのマンガを読むことを止めないし、面白い、と人に言う(ホントに面白かったら)ことはするけれど、"吾妻ひでお"を一つのジャンルとして語ることはできなくなっている。昔はできた、と思うのだけれども。

何でもかんでも、ものすごいスピードで消費していくのがオタク文化だと思うんだけど、そのなかで吾妻ひでおは消費されつくしていないリソースと言えるのだろうか。私は'80年代前半、はじめてものすごい勢いで盛り上がったオタク・カルチャーによって、容赦ない勢いで消費された最初のリソースが"吾妻ひでお"だと思ってるんだけど、そうじゃないのかな。私の中では、吾妻ひでおってリソースは、すでに消費しつくされたものだと思っているんだが、どうなんでしょうね、良くわからんけど。

なんてことをだらだらだらだらと書いてる私自身が、いまだにどこかで吾妻ひでおに絡め取られているのかも知れない、とはもちろん思うわけですが。


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