ばむばんか惰隠洞

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2005-03-28 [長年日記]

[web] クリティカルコンパス、ふたたび (23:08)

んと、ドラフト2版、なんて物が出ているようで。選択肢の文言がやや変わると、意外にこちらの反応も違った物になるのだな、というところで。んで結果。

保守・リベラル度	-0.83	
(経済的な)右・左度	-2.05	
あなたの分類はリベラル左派(リベラリスト)です。

なるほど。

[Books] ブラッドタイド (24:37)

本書カバー メルヴィン・バージェス 著/安原和見 訳
カバーイラスト 加藤俊章
カバーデザイン ヒスミヨウ
創元推理文庫
ISBN4-488-56301-5 \1100(税別)

昏い血潮とフリークス

近未来の英国。黒魔法と見まごうばかりに発達した遺伝子操作技術は大量の"獣人"を野に放ち、それが元で今やロンドンは、世界から見捨てられた巨大な暗黒都市となっていた。その中で覇権を争う二つの勢力。共に暗黒街の顔役からいつしかその地域の"王"にのし上がったヴォルソン家とコナー家。互いの抗争の前にまず、日々人間たちの世界を圧迫し続ける"獣人"たちの脅威を排除しなくてはならないと考えたヴォルソン家の当主、ヴァル王ことヴァル・ヴォルソンは、若きコナーの当主に自らの娘、シグニーを嫁がせ、ヴォルソン/コナーの共闘態勢によって"獣人"たちの脅威を一掃しようと目論む。だがその持ちかけは、コナーにとっては別の計画のための格好のきっかけでもあったのだ。シグニーとコナーの婚姻は一見滞りなく執り行われ、ロンドンは新しい、行く末に明るさが約束された時代に入ったかに思われたのだったが…

ジーグフリードの物語などの、そのまた元になったとされる北欧神話の内の"ヴォルスンガ・サガ"を大胆に近未来の物語に翻案した、ややSF風味も混じったダーク・ファンタジーと言うことになるのかな。そもそもわたしゃ"ヴォルスンガ・サガ"なんて言われてもちんぷんかんぷんだし、ジーグフリードよりはデュークフリードの方がまだしもよく知ってるような人間な訳で、この作品で描かれている物語世界が、どの程度原典を踏まえているのか、とかも判断のしようがないんだけど、とにかくこの濃密で、昏く淫靡な世界ってのは、いわゆる"サガ"(伸ばしませんよ)が本来持っている血筋なんだろうな、という気はした。似た例があるとするなら「ゴーメンガースト」三部作なのだろうし、それから「グローリアーナ」もそう言う系統の作品なんだろう。で、そう言う系統のお話たちを頭の中で思い浮かべてみると、なんというか、物語の昏さとか容赦のなさとかあられもなさとか、そう言う部分って、案外、お話の作られた地域の太陽の日照時間の長短にも影響受けたりするのかなあ、なんて思ったりする。

北欧神話を題材に取ったこのお話の昏さとかえぐさって、例えば「グローリアーナ」とかと比べてみてもその暗黒ぶりが尋常じゃないというか。エリザベス時代の英国、が舞台の「グローリアーナ」では、まだ血の色は鮮やかに赤いと感じられるのだけれれど、こちらの方では、血の色すらもなにやらどす黒い物に感じられてしまう。それが北欧神話のカラーなのかそうじゃないのか、私は良くわからないんだけれど、少なくともこの作品の、近未来のロンドンに舞台を借りた北欧のサガは、色彩と明度、彩度に乏しく、重苦しく、容赦がない。環境の厳しさがそのままお話に反映されるのかな。

元のお話を知っている人ならば、「ああ、あれがこうであっちはああなるのね」的な楽しみ方が出来るのかも知れないが、わたしゃそっちの素養がないので猛烈にダークな、一種のアフター・ホロコーストもの的意味合いを持った愛憎交わる復讐譚、として読んだ。映画「ノストラダムスの大予言」の終末後の世界でしぶとく生き延びている人間と人間の出来損ない、ついでにそこに、今ひとつ決め手を持たない神が介入して織りなされる悲劇、という感じ。

お話としての濃密さはすごいと思うんだけど、まあなんだ、ページを繰るのが楽しくてたまらないような本ではないなあ、と言う印象。腕のいい板前さんの作る活け作り、みたいな小説でしょうかね。

オレ、魚嫌いなんだよ(^^;)。

(★★☆)


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