ばむばんか惰隠洞

«前の日記(2005-03-26) 最新 次の日記(2005-03-28)» 編集

カテゴリ一覧

Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士


2005-03-27 [長年日記]

[Chinema] 鉄人28号 (23:50・見たのは昨日)

劇場版パンフ表紙 スタッフ
監督:冨樫森
プロデューサー:佐倉寛二郎
脚本:斉藤ひろし/山田耕大
撮影:山本英夫
視覚効果:松本肇 音楽:千住明
出演
池松荘亮
蒼井優/薬師丸ひろ子
香川照之/川原亜矢子
中澤裕子/高岡蒼祐/伊武雅刀/榎本明
阿部寛/中村嘉葎雄
公式サイト:http://www.tetsujin28.jp/

説明不要の横山光輝の同名マンガの実写映画化。

反則だよなあこのパンフのデザイン。オレ、この元ネタ本、定期購読してたもんね。毎月10日が「鉄腕アトム」、20日が「鉄人28号」の出る日だったような覚えがあるよ。懐かしいったらありゃしない。さて。

昔ながらの焼き肉屋が、ある日ステーキハウスとしてリニューアルオープンした。行ってみると内装は清潔で洒落ているし、店員たちの接客態度なども充分に訓練されたものになっている。で、いよいよコックさんが目の前で肉を焼き始めた。いい感じに焼けてきたし、匂いもいい感じだ、わくわく。いよいよあとは仕上げのフランベの、華やかな炎だな、と思ったら、コックさんはいきなりそこでその肉を客に出し、何事もなかったかのように次の肉を焼き始めた…というのが延々二時間繰り返される、様な映画。あらゆる点において間違ったことはなんにもしていない。でも、出来てきた物は何かが違う、そうじゃないだろ、なんでそこでやめるんだ、を延々味合わされるような映画なんです。良心的な駄作、としか言いようがない。山本弘氏に倣って採点するなら2デビルマン…ああでも「スペゴジ」は3デビルマンなのか、んじゃあ「鉄人」は4デビルマン(w。でもオレ的にはこれ、同時に0.6ジュブナイルぐらいは付けてあげたくなる作品で、個人的にデビルマン単位の4より、ジュブナイル単位の0.6をそこそこ重視してあげたい気分もあったりする。昨日「かばう」と言ったのはそう言う意味なんですね。

それはともかく悪いところを列挙しましょうか? というか列挙しきれないぐらいある(^^;)んだけど、まず一番問題なのは敵の動機がさっぱり判らない、ってのがある。動機がはっきりしない上に敵側の勝利条件もさっぱり判らない。なのでブラックオックスが何をやったら善玉側の負けで、で、善玉が負けるって事が一体世の中にとってどんな大変なことになるのか、が全然見えてこないんである。この時点でこの映画には、ラストに向けて観客を引っぱるためのテンションって物が決定的に不足してしまっている。テンション足りなすぎて、途中で席を立っちゃうお客がいるぐらい(ホントにいたのよ)。

同じように善玉サイドにも、敵と戦うための動機が全然見えないままに話は進んでいく。なので、善玉側の高揚→最初の闘い→挫折→そこからの復帰→そして最後の闘い、へと流れていくはずのストーリーが全然見えない。正太郎君のお母さんはなぜ巨大ロボットと死んでしまった父のことを語らずにいたのか、それがお話の展開の中でついに正太郎に明かされるとき、正太郎はそこからなにか、新しい覚悟とか決意とか、それから新しい力を得なくちゃウソだと思うんだけど、「ボク、お父さんに嫌われてたわけじゃなかったんだー」で済ませて良しとしてしまう製作者の神経がわからない。

というか、真面目に見てると、登場人物たちの行動って、なぜそうするの? と思ってしまうようなことのオンパレードだったりするんで困ってしまうのだけど。いろんなヒット作のいいところを持ってきて、安易につないで、その場その場でなんだかわかったようなわからんような、うやむやの内に「ほら、いい絵でしょ? んじゃ次行きますよ」ってのの繰り返し映画になっちゃってるような気がするのよね、これ。なので当然、一本の映画を通して気分を盛り上げる、様なことは出来ない映画になっちゃってるんであります。

特撮まわりも同様。合成大魔王、松本肇氏の仕事っぷりは流石って感じで、実写側の動きは抑えめとはいえ、かなり凝ったマッチムーブを見せてくれるし、やや過剰(何かうまい手が見つかったもんでうれしかったのかも知れないけれど)とはいえロボット同士の戦いでダメージを受けるクルマ、の絵とかもいい。トレイラーでも見れるけど、ブラックオックスにねじられる東京タワーの映像も立派なもの。ええ、「ローレライ」の海面よりはクオリティ高いと思いますよ。ただ、「絵」の完成度は高いけど「映像」としての説得力、って部分は著しく低い物になっちゃっててそこも残念だったなあ。

てなわけで、ホントにどうしようもない映画に見えますよね。実際そうなんです。お休みの日に1800円(プラスアルファ)のお金を払って、2時間ばかり楽しい時間を過ごしたい、と思ってる人に、私、この映画をおすすめすること、出来ません。はっきり言ってダメ映画です。上映時間114分が140分に感じられます。

ところが、だ。

このあざとい「ほら、いい絵でしょ」攻勢のなかに、個人的にかなり(前後の脈絡が無くっても)こっちのツボをついちゃうシークエンスがあるのが困ったところで。これ、鉄人対ブラックオックスのバトル部分を無かったことにして、正太郎君の成長を描くジュヴナイル作品として見てみると、何とも悩ましいことに私の中ではかなり高い点数付けたくなっちゃうんですよ。

これ、実は正しいジュヴナイル(ええと、私ジャンルとしてのジュヴナイルは「ジュヴナイル」、超ウルトラ大傑作映画の方は「ジュブナイル」、と書き分けることにしてますので、その辺よろしく)の必要条件をかなりきっちり満たしてるんだよね。無いのは「夏休み」ぐらいで、「秘密と冒険」、「恋と友情」、「良い大人と悪い大人」、しっかり全部盛り込まれてる。途中から私、ジュヴナイル作品を見るモードに切り替えてこの映画鑑賞してて、この流れではさすがに「恋」はないかなあと思ってたところにしっかりその要素もぶち込んでくれちゃったものだから、もう自分の中での点数アマアマになっちゃってねえ。あざといことはわかってても、ジュヴナイルならその展開しかないよな、って展開をしっかり見せてくれるもんだから、自分の見たいところだけをしっかり見て、他は見なかったことにするモードで鑑賞しちゃって、で、そうやってみてみるとこれ、すんげーオジサンの涙腺直撃弾が随所に仕込まれてまして。いや困った。

凝り返しますけどダメ映画です、これは。でも個人的には「ジュブナイル」以来久々に、正しいジュヴナイルを見せてもらったような気がして、けなさんといかん映画なんだけどどうもこう、心からけなせない映画になっちゃってるんですわ。参ったねどうもこりゃ。

(★)

でもオレの狂った脳内採点システムでは実は(★★★)

[TV] 定期視聴番組 (24:06)

「ウルトラマンネクサス」、「種デス」、「魔法戦隊マジレンジャー」、「仮面ライダー響鬼」、「ふたりはプリキュアMH」。月曜発送の本が結構あるので梱包作業しながらつらつらと。

「ネクサス」は、一応この作品世界が映画版「ULTRAMAN」とリンクする話なのだ、と言うのが語られるエピソード。これを見る限り、星川航空に移った別所哲也には、その後かなり過酷な後日譚が待ってたような感じですな、南無。見えないお話をそのままに、さらにTLT内部でも権力闘争があるような描写があるけど、この先の展開でその辺、ちゃんと意味のある描き方が出来るのかね。単に設定に含みを持たせるためのスパイ云々だったら、ない方がよほどいいと思うんだけど。

デス様は、おー、キラ最強じゃん、というお話でしたな。その反面ドイツ語で西川君の人はあっさり死んじゃってるし。そろそろツァーでも始まるんで、声優やってる場合じゃないと?

「マジレンジャー」はそこそこ楽しめるようになってきた、かも知れない。そうだよな、魔法ってモノのなんだか良くわからんプロセスのいかがわしさを、ちゃんとお話しの中に絡めないとせっかくの設定がもったいないでしょ、って感じ。「汚い水の中のきれいな部分の水1リットル」とか言うの、結構好きですわ、魔法っぽいと思う。

「響鬼」は、明日夢クンのエピソードとヒビキさんの話がうまくリンクできなかった感じで残念賞。つかグループとはいえ女の子とのデートの日の朝に起きられねえ男子なんてありえねー。起きられねえならそれだけの理由をちゃんと見せてください。前日あきらに夜通し問いつめられまくってた、とかでいいんで。

あきらカワイイよあきら(だからもうええて)。

[DVD] 地球の危機 (24:36)

昨日映画を観たあと、梅田をうろうろしてて三番街のディスクピアで発見した、「2枚で1990円」DVD。「地球の危機」と「恐竜100万年」のセットが買えるんじゃん。ということでるんるんで二枚持ってレジにゴー。

梱包作業が終らないのでいつものテレビ番組一通り見たあとに、「地球の危機」を流してみる。言うまでもなくこれは劇場版「原子力潜水艦シービュー号」。ノヴェライズを担当してるのはシオドア・スタージョン。

かなりガキの頃に一度見たっきりだったので大変に新鮮だった。なんたって映画の冒頭でジャックナイフ・サーフェスぶちかますシービュー号が格好良すぎ。あと、大女優ジョウン・フォンティンをストーリー上の成り行きとはいえサメのエサにしてしまっていたとは、あーびっくりした。その他、あっしの好きなピーター・ローレがええ芝居してたり、バーバラ・イーデンが思いのほかいい乳だったり、なんだかんだと見所がありますな。つかまあ凡百の人間の芝居なんかよりも、海に挑む船、の画にはついつい燃えてしまうもので、探信音打ちながら浅深度で突っ走るシービュー号の画、はやっぱり水モノ好きにはたまらんモノがありますわ。

深いお話が作れないアーウィン・アレンの限界も同時に感じ取れちゃって、「ポセイドン・アドベンチャー」ってやっぱり格別な作品だったんだよなあ、とか思っちゃった。

パメラ・スー・マーティンが凶悪に可愛かったんだけど、彼女のその後はどうだったんだろうなあ、とか思ったりして(ぐぐってみたので彼女のその後の情報は不要です。ちょっと泣けました)。


Google search
www.bumbunker.com
Web
2005年
3月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ここ1週間分の話題

傑作です

懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

バナーが必要ならこちらを
バナー素材

古本屋やってます
特殊古本屋 軽石庵

2003年9月までのサイト

巡回先
ROVER's HATENA

あすなひろし追悼サイト
あすなひろし追悼サイト

twitter / karuishian
«前の日記(2005-03-26) 最新 次の日記(2005-03-28)» 編集
©1996-2020 乱土 労馬:l-rover@kobe.email.ne.jp