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ナナオのモニタ募集の方は、メールに返信打ったらすぐに、「モニタ契約書」なるものを送るので、そいつに記入の上郵送してくれって事で。あとはなんとか設置場所を考えないといけないなあ。
ジョン・ダニング 著/宮脇孝雄 訳
カバーデザイン スタジオ・ギブ
ハヤカワ文庫HM
ISBN4-15-170408-6 \900(税別)
警察官を辞めた私が選んだ仕事は古本屋だった。少しばかり尋常でない事件にも遭遇したけれど、なんとかこの稼業にも慣れてきたある日。その"尋常でない"事件で手にした報酬で、2万9千ドルの古書をオークションで入手し、それが元でウォーホールの言う「15分間の名声」を得ることになってしまったとき、私の前にはまた、新たな、そして不可解な謎が立ちはだかることになったのだった。リチャード・バートンの稀覯本。そこに記された著者のサイン。サインが捧げられた人物とバートンとはどんな関係だったのか。それを知ると言う人物が突然私の前にあらわれたのだ……。
ラスト一行にしびれた大傑作、「死の蔵書」、ポーの「大鴉」をモチーフに、まったりと語られる特装本の世界が楽しい「幻の特装本」に続くデンヴァーの古本屋、クリフォード(クリフ)・ジェーンウェイのシリーズ、第三弾。今回は英国の作家、リチャード・バートンがテーマ。もちろんリズ・テーラーの旦那様ではない。私も良く知らないが、解説によれば日本では「千夜一夜物語」などの翻訳で知られる作家だが、それは晩年の仕事で、その壮年期には世界各地を渡り歩き、膨大な旅行記をものした、作家兼冒険家のような人物だったのだとか。そんなバートンのキャリアの中で、南北戦争勃発前のアメリカ南部を旅行した時の記録に、なぜか空白の期間がある、と言うところまでは史実の通り。ではその空白の期間、博識の冒険家リチャード・バートンは何をしていたのか、を通奏低音に、稀覯本を巡るコレクター、それが産み出す富に群がる連中が織りなす人間模様。明かされなかった過去の真実に迫っていく、と言うあたりはゴダードの一連の作品に感じる趣があるし、そこに(今回はやや控えめではあるが)主人公、クリフによる古書の解説が加わっていつもながらのこのシリーズらしさが醸し出される仕掛けになっている、と言う感じ。いやもう、読み始まったら止められんね。
元はタフガイでならした警官。スペンサーよろしく裏の世界にもそれなりに顔が利く人物、がいきなり古本屋はじめて、しかもそれがそこそこ何とかやって行けてる、という設定に無理を感じるかどうかで、この本を楽しめるかどうかが分かれるのかも知れない。ここをあまりに都合良すぎるだろう、と思ってしまうと、この580ページばかりある物語、とっかかりで調子に乗れないかも知れないね。いやまあほんとに、根っからの古本屋だったら多分、こういうお話のような陰謀に巻き込まれたら真っ先に殺されちゃうに違いないわけで、まあここは大目に見てくださいな。そこを乗り越えられれば、実に楽しい時間が過ごせると思うから。
さて今回は、古書の世界、と言うよりはミステリアスな一人の過去の人物、がテーマになっている分、古書の蘊蓄などをあちこちで楽しめるようなつくりとは言えないあたりはちょっと辛い。リチャード・バートン、と言う作家がなかなかイメージできないあたりも浅学な日本人である私にはちょっと辛い。私は この人物を、間宮林蔵+松尾芭蕉、みたいな人物なのかな、と思って読んでいったんですけど、実際のところはどうなんだろうね。そこらにストレートに感情移入しづらいものがあったし、日本人にとって南北戦争というのが、もうひとつこう、皮膚感覚で共感できるものではないだけに読んでいて、「そういうものなのかな?」としばしば思わざるを得なかった、ことは白状しておく。なんつーかこう、アメリカ人に白虎隊のメンタリティはわからんだろうなあ、てな感じの裏返し。
本作品では南北戦争勃発前のアメリカ、がかなり大きな意味を持っているんだけど、そこのところを、たとえば新選組なり彰義隊なり白虎隊の物語に我々が持つシンパシィみたいなものを共有できないで読んでいると、今ひとつのめり込めないのかも知れないな、とは思った。少なくとも私はそうで、そりゃあアメリカ人にとっては、南北戦争こそが実は一番多くのアメリカ人の命が奪われた戦争だったかも知れんけど、海の向うの無責任な読者には、なかなかそういうのは伝わりにくいのだよね。そこが惜しかったかなあ。それ以外は(主人公の前提を良しとすれば)存分に楽しめるのだけど。
ただまああれです、随所で挟まれる古書へのお話、古本屋という職業に関するお話を読んでると、時にうんうんと頷き、時に自分を振り返って激しく恥じ入ってしまい、そしてまた時には、そういうものなのかなあとまだ見ぬ深い世界の一端をかいま見たような気分にさせてもらえる希有な本。何せ本書では、どちらかと言えば悪党サイドの登場人物さえ、こんなセリフを口にするのだよ。
「(前略)ジェーンウェイ、あんたも本屋だ。それにまだ若い。今の商売がうまくいかなかったら何をする」
彼はまた大きく煙を吸い、二本の筋にして鼻から出した。その煙に顔が隠れた。「その沈黙が答えだな。そうだよ、本屋になった者は、ほかの商売なんか考えられないんだよ」
わたしゃこの一節で、かなりこう、打ちのめされた気分になりましたよ(^^;)
(★★★★)
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次のライダーものは外見だけなんかのWEBで見ましたが、やはりすでにライダーじゃないですねぇ見た感じ。響鬼・・・・・・・うーん。。。<br> ちなみにうちも明日まで仕事なのですが明日は多分ぼややんとした感じで昼頃にお開きになるかなぁとか思ってますがどないなりますやら。
なんかもう公式サイトとか見てると、時代劇の枠かいな、と思いかねない感じで。<br>でもあれですよね、ゲーム業界的にはおいしいネタだったりするのかも(^^;)
バートンは、P・J・ファーマーのリバーワールドの第1巻の主人公にとりあげられているので、少し調べたことがあります。わたしの印象としては、本国が性に合わなくて、アラブとかで雇われ領事をやって勝手気ままに暮らしているショーン・コネリーという感じ? 言語の天才というのは有名らしいですね。